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氷上の王、ジョン・カリーのmiraikakoのレビュー・感想・評価

氷上の王、ジョン・カリー(2018年製作の映画)
4.1
仕事を終えてからすっとんで行って初日に観れました。

フレディと同じ時代に
同じような興味本位の報道に翻弄もされ
成功者に群がるその手の人たちの「愛」を勘違いさせられ
結局は孤独を深めていく、天才の姿。

冷戦さなかの、芸術を点数で競うことの矛盾
スポーツであるから許された居場所がだからこそ生きにくい場所になってしまった矛盾
金メダルを取ったから、カンパニーを運営できたけれどだからこそやめられなくなってしまう矛盾



それでも時間が経って新しい舞台に立つたびに新しい可能性を周囲に見せていく、その才気。美に対する感性。あんな荒い素人がかろうじて残した動画映像しか残っていないことの、苦しさ。彼が当時おかれていた状況の反映かと思うと辛くて悲しくなる。

彼の美しい肢体から繰り出される今見ても見事な芸術性が正当に評価され続けたのかとか、

ゲイであることやあの80年代のAIDS騒動の中でターゲットにされ「死病であるかの病気は一般人には無縁である」としたかった政治家たちに標的にされた同性愛者たちの、無念の叫びとか、いろいろなことを思い出して

苦しかった。

故郷で母親と暮らした最晩年は幸せだったのか。
彼自身が望んだ彼の記憶、美しきドナウの青の衣装。
今の時代だったら、もう少し楽に呼吸ができたんだろうか。

まとまらない。

2019/5/31
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