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氷上の王、ジョン・カリーのkaerudashiのネタバレレビュー・内容・結末

氷上の王、ジョン・カリー(2018年製作の映画)
1.5

このレビューはネタバレを含みます

短い上映時間の中でプライバシーの掘り下げが行き過ぎています。ご本人は
もう亡くなっていて何も言えないのにかなり私的な映像があったり第三者が滔々とセクシャリティを語るので、タブロイド紙を見せられているようで
いい気持ちはしませんでした。人の死後映画という形で自身の人格に係る事を世界中に発信されてしまうのには余り賛同できませんでした。
本来映画の主軸となるべき演技映像も殆どが一部分で断片的な為プログラム
としての振付や演出の全貌が見えにくくなっています。全てフルで流せて
いたらカリー氏の掲げた「スケートは藝術である」という理念がより鮮やかに伝わったでしょう。しかしなにぶん古い映像なので全部は現存しなかった
のかもしれません。それでもカンパニー設立後の活動の記録は初めて目に
する貴重なもので、苦悩や葛藤が充満する中カリー氏が「藝術としてあるべきスケートの姿」を模索する過程は胸に迫るものがありました。
子供の頃TVで見た優雅なカリー氏に再会できると鑑賞しましたが想像していた演出とは違いました。
ただ、ざらざらだけれど一種のノスタルジーすら覚える古めかしい映像の中
繊細なバレエの技法を纏って神様への捧げものの如くひたすらに舞い続ける
カリー氏の姿は静謐で、落涙してしまいました。短くなってもいいから
演技メインの演出の方がよかったです。
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