ノラネコの呑んで観るシネマ

ウタモノガタリ CINEMA FIGHTERS projectのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

2.9
LDHの所属アーティストが出演し、彼らの楽曲をモチーフにした短編映画集の第2弾。
まあ曲とのリンクは「一応」程度で、限りなく希薄なのだけど。
石井裕也監督「ファンキー」は2041年の3月11日の話。このテーマにして、このテリングはちょっとどうなんだ。個人的には嫌悪感。
安藤桃子監督「アエイオウ」は支離滅裂すぎて、何を描きたいのかさっぱり分からない。長い映画は得意でも、短編はそうでも無いようだ。
岸本司監督「幻光の果て」は海で恋人を亡くし、過去から逃れられない男の話。短編ドラマとしてまずまずだが、もう一つ突き抜けない。
平林勇監督「Kuu」は、言葉でなく奇妙なダンスでコミュニケーションをとろうとする部族(?)の人々を描く。元ネタはアメリカ先住民の手話文化かな。アニメの人らしい完全非日常性の世界に、映像言語で勝負してなかなかいい。
Yuki Saito監督「Our Birthday」これも恋人を亡くした男の話で、「幻光の果て」と構造が同じ。見やすいがラストシーンは蛇足。
松永大司監督「カナリア」は、被曝牛を飼育している福島の希望の牧場がモデル。6本の中で大きく心を揺さぶられたのは、この作品が唯一。作り手の姿勢も真摯だし、牧場主役の塚本晋也が素晴らしい。
出来はピンキリだが、6本中2本が3.11を扱っていて、4本が喪失の痛みの話で、そのうち3本が恋人を亡くした男の話。
EXILEの事務所だから男メインは仕方ないかも知れないが、続けるならラインナップ構成は再考した方が良いと思う。
現状「とりあえず映画監督集めました」でクオリティのアベレージが低すぎるので、お金とるのなら、もう少し全体のレベルは上げて欲しい。
この中では監督の知名度の高い最初の二本が、学生映画以下の出来なのはやはり問題。