すあまさえ

ちいさな英雄 カニとタマゴと透明人間のすあまさえのレビュー・感想・評価

4.6

大好きな作品なんです。

私は(というかみんな)ジブリって大好きだと思うんだけど、この映画、45分しかないのに3回くらい泣いちゃうんですよ。

観るのは2回目かな、3回目かな。

スタジオポノックは、どこかの国の言葉で午前0時って意味なんですよ。
ここから夜明けに向けて、だんだん明るくなっていく。なんかそういう感じの意味があるんだって。

ジブリの製作人が集まって、新しく独立したスタジオポノック。

3本の短編アニメーション。テーマは小さな英雄。カニと卵と透明人間。

どれも大好きです。

カニーニとカニーノはね、この冒険を通して広い世界を知って、たくましく大人になる。最後にカカがカニーニのハサミを見て、危険な目にあった我が子を抱きしめるんだけど、たくましくなって、ちょっと誇らしげな表情から、お母さんにぎゅってされた安心感で子どもに戻るんだよね。

いい子いい子ってしてもらった時の暖かさがみてる私たちの心にも広がるんだよね。
頑張ったね。

卵はね、もう号泣ですよ。
大人とシュン君のクラスメイトの子どもたち、要は大人と子どもで捉え方が全然違くて、それが現実的で、きっとこういう思いをされてる家族がたくさんいるんだって。

最後、卵が入ってるアイスを食べちゃうんだけど、それを描くまでのアイスが溶ける時間、スプーンが倒れそうになる描写が薄暗くてね。ああ、これは入ってるんだろうなって、わかるんですけど。
でもね、ジブリの作品は、絶対前向きに終わるんですよ。やっぱり、そうじゃなきゃさ。

卵を食べてエピペンを取り出して外に飛び出す。その時に、死んでたまるかああああって。戦うんですよ、アレルギーと。小さい体の全てをかけて。
なんかね、これだけエネルギーがあったら、アレルギーにも打ち勝てるんじゃないかって、みてるこっちはどこかで確信するんだよね。理屈とかじゃなくて。
シュン君の生命力をね、感じる。強い子になるね。

そんで透明人間。
セリフがないんですよ。またカニーニとカニーノとは違うセリフのなさでね。それをオダギリジョーが演じるわけなんですけど。何に渇望してて、満ち足りてないのか、みたいな事をたくさん考えて臨んだんですって。
なるほどなぁって。
でもね、やっぱり子どもっていうには不思議な力を持っていて、小さい子には見えるんだよね。
その瞬間に、透明人間の心が生きかえるんですよ。取り戻されるんです。
最後のバイクの後ろ姿が、どこかかっこいいんだよね。

最後に。まっすぐな、キレイな木村カエラの歌声がこの映画には必要不可欠で、最高だよね。笑顔になる。

大好き。
すあまさえ

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