どらどら

止められるか、俺たちをのどらどらのレビュー・感想・評価

止められるか、俺たちを(2018年製作の映画)
4.5
- 突き詰めれば、やるか、やられるか。それを暴力なしでやろうっていうんだから、映画ってほんとに難しい

三島由紀夫が割腹自殺し、
敗北を強いられた全共闘運動は先鋭化し、
若松孝二は、映画を作っていた

溢れ出さんばかりの情熱
時代を撃つか、社会を壊すか、世界に小便引っ掛けるか
やるか、やられるか
喉元に刃を突きつけられるか

何と闘い、何に生きるか
何を、創るか
彼らの革命歌は誰にも止められない
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若松プロ出身の白石和彌•井上淳一による情熱迸る一作
この手の「映画作る系」の映画にありがちな、表現者の自己陶酔的美化とはこの映画は一切無縁だ

もちろん、画面からは映画を、時代を、作らんとする才気あふれる若者たちの溢れ出さんばかりの情熱が迸っている
才能との葛藤も描かれる

それでも、この映画の先にあるのは、「ではお前は何を作るか?」という、作り手が自分たち自身に向けた(それは翻って、若松孝二から、そしてめぐみからの)問いである
先鋭的な映画は誰も見に来ず、問題意識のある人がその自己確認に訪れるのみ
劇場で大ヒットを飛ばすのは、社会批評性などどこ吹く風の「ただヤってる」だけの映画
「テレビドラマでセリフ一ついじった方が」社会的に影響力がある
それでも「映画」という表現にこだわり、作り続けるのはなぜか
なぜ「映画」でなければならないのか
なにを、作らなければいけないのか

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もはや我らがミューズ•門脇麦、今作でも天才的
魅了され、葛藤し、阻害され、刃をそれでも突き立てる彼女のは、間違いなくチェに並ぶ生き様である
若松孝二馴染みの出演者たちのカメオ出演、実在の人物(それも大概大物!)を若手が演じ、若松孝二本人をその晩年歩みを共にした井浦新が演じる
特別若松プロファンというわけではないが、それでも熱いものがある

遠山美枝子が出てきたときに、ちょっと声出てしまった。タイムスケール的に山岳ベースに入る直前かな?おにぎりのエピソードをそこで入れるのが秀逸

こうやってつくられる本物の映画が見たい。御涙頂戴•わかりやすさ至上主義の映画ではなく。
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