イチロヲ

止められるか、俺たちをのイチロヲのレビュー・感想・評価

止められるか、俺たちを(2018年製作の映画)
3.5
新進気鋭の映画監督・若松孝二(井浦新)に師事している女性(門脇麦)が、助監督として撮影隊に参加しながら、自身の進むべき道を考えあぐねていく。綿密なる考証の末に製作された、実話ベースの青春群像劇。

若松孝二(故人)とは、持ち前の反骨精神を原動力にしながら、自身の感性に委ねた作品を製作し続けた人物。本作では、1969年春から1971年秋に掛けての、学生運動を背景にしたドラマが描かれている。

日本映画の転換期を支えた重要人物が続々と登場するため、ある程度の知識を蓄えていると、テンションが上がりまくる。しかし、様々なエピソードの詰め合わせが仇となり、主人公の単独行動に焦点があてられると、失速感に見舞われるという難点がある。

「創造する側・鑑賞する側の温度差」「師匠のコピー人間になることへの危惧」「自身が掲げた目標の喪失」など、モノ作りに関わる人間がぶつかることになる障壁を、儚い青春ドラマの中に落とし込んでいる。役者陣のなりきり度合いにサムズアップ。
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