TaiRa

騙し絵の牙のTaiRaのレビュー・感想・評価

騙し絵の牙(2021年製作の映画)
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ウェルメイドなのかもしれないけど、飛び抜けた良さもあんまない。何か出版業界における問題もちょっと古い。

コンゲーム的な騙し合いが繰り広げられる訳ではなく、権力者たちが大泉洋に一方的にしてやられる展開。冷静に考えると大泉洋の計画自体に無理があったり、偶然に頼ってる節は多分にある。ラストの意外な裏切りがどんでん返しとして用意されるけど、そこに根付くアートの独占って考えも何だかなぁって感じ。本来やろうとした政治劇としての面白さって利害関係の交錯であったり、相手の出方に機転を利かせて対応したりするとこだと思うんだが、基本的に予め用意された計画を一方的に進める感じでスリルがない。大泉洋のキャラクターも終盤に行く程、矮小化される感じがしてもったいない。それと時間間隔が地味に分かりづらくて、凄い短期間で物事が進んでいる様に見えて説得力が薄れてる。中盤に差し込まれる松岡茉優が消えた作家を探し出すエピソードも、ダイジェストの様な処理に感じてもったいない。テンポは、良いけど溜めが無い展開で手からスルスル落ちて行く。全体通して特別悪くもなければ特別良くもない印象。吉田大八はもっと変なの作って良い。
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