何千人ものお客さんの前に身ひとつで立って笑わせるスタンダップコメディアンは、どんなヒーローよりも勇敢だと思う。
心臓が剛毛な毛で覆われていない限りは出来ない偉業なので、クレイジーであることは間違いないと思うが、基本的に頭が良く、そして心優しく、たくましい人が多いと思う。

メンタルの虚弱化が甚だしい現代では特にそう思う。彼らの心臓はカピバラのタワシのような剛毛で覆われているに違いない。憧れる。

この作品は今から20年前のショーの模様が収められていて、当時ジェリーは43歳。1時間超もの時間を、コップ1杯の水とスタンドマイク1本があるだけのステージで、休む間もなく喋り倒す。その姿は圧巻。喋りだけでワールドツアーを成功させるなんて、人間としてかっこ良すぎる。

2012年からのシリーズ「サインフェルド：ヴィンテージカーでコーヒーを」もほとんど見てしまった。その中に印象的なエピソードがあった。
芸歴30年以上の彼が、何十人から何千人まで大小様々なキャパのステージに立ってきて、人生で一番笑いを取ったステージは「病室」だったと言う。
「末期ガンで余命1ヶ月の友人の前でネタを披露していた時、食べ物がうまく飲み込めず彼が吐いたんだ。それで彼が謝るから『平気さ。フムス(ペースト状の豆料理)を食べたくなったよ』と答えたら死ぬほど笑ってくれたんだ。本当に幸せそうだったから、それが一番ウケたステージと言えるよ。」と話していた。
長い芸歴のなかで培われた瞬発力はそういうささやかな瞬間のためにあるのかもしれない。いつも鋭くキツい物言いをするが、根底に流れる“芸人の優しさ”に触れて、一気に惚れ込んでしまった。

ジェリー・サインフェルドのNY公演
Stand Up Comedyといえば自分の中では彼が1番
約1時間も1人で喋り続けること自体がすごいことだなと思うのに、それに加えてもちろん面白い
観客も盛り上げててすごく楽しそうだし、彼もやりやすいだろうなと思いながら見てた

That’s why he’s the fuckin LEGEND 🤣🤣