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HANDIA アルツォの巨人のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

HANDIA アルツォの巨人(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

実在した巨人症の男を描いた伝記映画。

巨人が出てくる話と聞いて、一体いつ登場するのかと思いきや、主人公が戦争から帰ってきたら、弟が巨人化していてビックリ。
先端巨大症という病気が原因らしいですが、大人になっても成長期が止まらない事があるんですね~。

物語的には、巨人化した弟と傷痍軍人になった兄が見世物をして稼ぐ姿が描かれます。
見世物…つまりはモノ扱いされていく事で、弟の自尊心が傷つけれられ、抑圧されていく姿は見ていて辛いものがありました。
もしも自分が弟の立場だったら、とても耐えられないと思うのですが、この弟はよく耐えましたよ…。

そして、本作のもう1つの見所となるのが、兄弟の愛憎です。
父親に戦争へ行かされた兄と行かなかった弟、見世物として搾取する兄と搾取される弟、弟の元カノと結婚する兄と恋人すら出来ない弟…。
この一筋縄では行かない複雑な関係は、時に醜く、時に美しくもあって。
2人を見ていると何とも言えない気持ちにさせられるのですが、1つだけ確かな事があるとすれば、「人の人生を捻じ曲げる戦争はクソ!」という事。
もしも戦争がなかったら、2人は一体どんな人生を歩んだのでしょうね。

正直、事前に期待していた様なエンタメ性はほぼ皆無ですし、これといって物語に意外性や起伏があるわけでもない。
全体を通して、非常に陰鬱とした作品ではありますが、一方で映像に関しては綺麗に撮影されており、詩的で情感に訴えるショットも印象に残りました。
エンタメ映画と言うよりは、アート映画として見るべき作品かなと思います。
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