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旅のおわり世界のはじまりのthe8thfloorsのレビュー・感想・評価

旅のおわり世界のはじまり(2019年製作の映画)
4.0
旅のおわり世界のはじまり

服の色だけ陽気なあっちゃんが、棒切れのようにおろおろと街で遭難してる。ひとりって、こんなに淋しいことなんや。と思わせる所在の無さ。それにしてもなんであっちゃんだけこんな目に遭わなあかんの、女の子だから?神様意地悪過ぎ、でも「やっぱ私運がいい...」と言える葉子ちゃんの胆力よ。競歩の選手くらいの速度で町を横切ってるし、道無き道を選んで進んでるところを見るに、体力もあるとお察します。〈旅の終わり世界のはじまり〉、タイトルの使いどころが忘れた頃に押し寄せてきてズルい!!糸が切れたように横たわった姿が夕陽に照らされて、この途切れそうな身体から、もう新しい命がひとつ世界に訪れたんやなあと思ってじいんとなった。ホテルの朝食、「歌えない、心がついて行かない。でも、その心がどんなものだったのかも分からなくなった」という葉子ちゃんの言葉に一瞬穿たれたような気持ちがした。確かだったはずのその心が分からなくなってしまったと分かってしまう、苦しいなあ〜、いい台詞だった。

ウズベキスタンもよくこんな色彩の薄くて薄汚れたシーン大量にオッケーしたな、と思ったけど、葉子ちゃんの眼に見える世界だと思うのでオッケーです!でも、異国で重そうな長財布は危険やでえ〜。ほんでテムルさんめちゃいい人!
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