原作は女児向けの児童小説で未読、
テレビアニメ版もあってこちらも未見という状態で鑑賞。
世評の高さは知っていたものの言うて子供向けだろうと
舐めてかかったところ完全にやられた、号泣。
両親をなくした喪失感・悲しみに対して
気丈にふるまうおっこが経験する出会いと別れ
そして自分の中での色んな心情の解決を
春夏秋冬鮮やかな色彩と94分という短い尺で
スッキリ見せている素晴らしい大傑作。
もちろん原作はもっと長い物語と想像されるし
ところどころ早足だなと感じるところはあるものの
必要最低限なエピソードを的確に抽出・整理されて
これ以上伸ばすと逆にダラっとしてしまうギリギリの見事な脚本だと思う。
演出的にも愉快な仲間たちの出会い、
というコミカルで楽しい雰囲気と
両親の事故死という非常に重い事実を抱えた
おっこの持つ不安定な心情を不穏な空気感を
両立させながら描いていることで
終盤でのおっこが乗り越えるシークエンスに絶大な破壊力を
持たせることに成功している。
好ましいのはラストのスパッとした感じ。
対立していたライバルとの融和、仲間たちの別れ
やろうと思えばもっと尺をとって「泣いてください!」と
過剰な演出もできたところをあえてさらっと描くことで
多幸感にあふれるエンディングになっている。
これは完全にやられてしまった。