デカモタロー

若おかみは小学生!のデカモタローのレビュー・感想・評価

若おかみは小学生!(2018年製作の映画)
4.6
アニメーションが美しい作画アニメ。温泉街や、虫たちの描写にグッとくる。主人公おっこの成長をラストにシンプルに伝える物語は素敵。旅館のお客さんも良い。ベテラン声優からバナナ設楽さん、子役まで調和してる。キャラデザに騙されず大人も観てほしい!

監督、高坂希太郎。脚本、吉田玲子。アニメーション制作、DLE、マッドハウス。

とは言いつつ、既視感のある設定や展開が多い。新しさがあればもっと話題になるかもと思う。グッとくるアニメーションも古き良き。花びら舞い散るCGは10年前のよう。

劇場では素直に虫のシーンにリアクションする子供も良かった。
アニメーションにワクワクすることは間違いないので、必見!

主題歌の藤原さくらのグッズのTシャツ着て本作を観に行った、たぶん珍しい人。エンドロールの主題歌はまぁ良いが、イメージボードをただ見せるだけなのがカッコ良かった。この絵を見るとジブリを感じる。

パンフレットには街の地図から、露天風呂プリンのレシピ、キャラ説明にキャスト説明と充実している。明らかにモデルがある緻密な背景が有馬温泉であることが分かった。だが、ノンスタイル井上さんの見開きのレビューは謎で仕方がない。本作は、一見して少女向けアニメに見えてしまうが、全年齢対象の作品なので、宣伝を間違えていると思える。

序文にも述べたように、終盤に訪れるお客さんによっておっこの心理があらわになる。それまでは、両親を亡くした交通事故が本当か嘘かと思えるぐらいに、ただただ新しい環境で日々を過ごす。新たな出会いから多くのことを学ぶ。
周りに支えられつつ、ラストのお客さんと向き合い、おっこ自身が若おかみであると声に出すことで、彼女の大きな成長を感じさせる。

ユーレイだったり、鬼だったり、デパートの買い物だったり、要所要所のギャグは子供にうけていたようだし、物語の大筋は大人も満足できる。これぞ、全年齢対象アニメ映画の方向性だと確信させる。

キャラデザはもう少し一般向けにしても良いと思うが、あの世界ならではのファンタジーが混在するリアリティが物語にあるから絶妙かもしれない。