りょう

バーフバリ 王の凱旋 ≪完全版【オリジナル・テルグ語版】≫のりょうのレビュー・感想・評価

3.6
 前編にあたる「伝説誕生」も完全版を観ました。1作品を2作品に編集したような一貫した物語と作風だったので、2つまとめてレビューします。
 ずっとハイテンションで、派手な絵画のような映像の連続なので、2つで320分以上は一気に観られません。映像から放出されているエネルギーが規格外ですが、がっつり観てしまうと消費するエネルギーもかなりのものです。CGも多用していると思いますが、王室の装飾やロケーション、エキストラの衣装など、どれだけの予算があればこんなスケールの映像になるのか…、日本の映画制作者とかは“ため息”ばかりでしょう。
 親子2代にわたる物語で、先代の父親の物語はフラッシュバックだと思っていたら、いつのまにかそっちが本編になっていました。親子を1人の俳優さんが演じていましたが、微妙なキャラの違いはちゃんと表現されています。それよりも、みんな似たような顔だちのヒゲの男性ばかりなので、登場人物を判別するのに苦労しました。
 奴隷とか庶民とかの姿もたくさん登場しますが、あまり貧富の格差をネガティブに描いていません。そもそも時代設定がわかりませんでしたが、インドは身分・階級制度の代名詞のような印象なので、それと比較するとソフトな表現です。ミュージカルシーンなどの女性の表現は、ここまで性的な要素でアピールする映像は久しぶりに観ました。6~8年前のインド映画とはいえ、現代的な価値観とかなりズレています。
 ここまで長尺なので、あまり気軽に観られませんが、物語には複雑なところがなく、登場人物のセリフも表情もストレートに理解すればよさそうです。小難しい解釈とか深読みも必要なく、精神を映像と音響に委ねられました。いい意味でリアリティを無視したファンタジーとしては、とてもよくできた作品です。1人で観るよりは、友人や家族とツッコミながら観るのがいいかもしれません。
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