津軽系こけし

翔んで埼玉の津軽系こけしのレビュー・感想・評価

翔んで埼玉(2018年製作の映画)
4.4
郷土愛がなんだ


忘れ去られた栃木ちゃん
完全にエンディングソングにもっていかれた感は否めないが、風俗的な地域格差を自虐する斬り込み隊長ぶりは、なかなかに愛らしいところがある。物語的終結を踏み越えて、メタ要素でさいたまイズムを謳う終幕は、さすがに思考放棄の突撃がすぎる…しかし一周回って好きになる…まさに埼玉そのものの魅力と重なるように。

GACKTのキャスティングは、このキャラクターとの照らし合わせというよりも、GACKTそのものがスクリーンの中で生きていると言える。というのも、GACKT自身の自虐や小ネタが作品へおまけ的な魅力を加えていて、面白い飾り立てになってる。GACKTという存在のブランドが映画のテーマから独立して呼吸しているというなんとも摩訶不思議な構図。スクリーンで観るGACKTが新鮮なだけに、フィット感があって面白かった。
GACKTに注目しがちだけれど、脇役もすこぶる豪華。二階堂ふみのツンデレお嬢様も王道で良い上に、ハイヒールというあたりもツボ。「地獄でなぜ悪い」の喧騒を切り進んだ風格が漂っていて、扱いもお手の物。さらにさらに、ちょい役に主演級の役者が顔並べ、撮影規模も大きいので圧倒される。ロードバイクのスリップシーンなんか見入ってしまった。

埼玉に軸を据えて自虐的に関東事情を叫び散らすコメディ映画。関東に住んだことがないので全てのネタを掌握するのは難しいが、埼玉県人なんかはすこぶる笑えるのではないだろうか。私としては是非とも東海編を原作者様に書き殴っていただきたい。
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