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バーニング 劇場版のjanrobot21のレビュー・感想・評価

バーニング 劇場版(2018年製作の映画)
4.6
イ・チャンドン監督が描く現代の満たされない虚しさが描かれた文学的作品。

原作は村上春樹ですが、イ・チャンドンが現代社会の抱える問題、視点を入れた傑作に仕上げています。
韓国の若者だけでなく、資本主義の先進国が抱える普遍的な問題が描かれています。
若くして苦労せずに金持ちになり、仕事と遊びの境界線のない、精神的に満足していない若者と貧乏で将来にぼんやりとした不安を抱え、物質的に満足できてない若者が対比して、時には似たような形で描かれます。

この間に、整形して自由気ままに日々を暮らしているようで寂しげな女性がいるのですが、この子が姿を見せなくなってから、徐々に画面に緊張感があふれてきます。

この映画は細かなところでも、いい部分がたくさんあります。最初にあるヘミちゃんと出会いタバコを一緒に吸うシーンや彼女の家に行った時のシーン、金持ち連中と一緒に飲み会するシーン、主人公が喫茶店に呼び出されて、あとの2人のやりとりを見せられるシーンなど自然光で画面が捉えられ、美しい画になっています。

現代の精神的に満たされない貧しさが描かれた傑作です。資本主義の世の中で崩壊していく倫理観、道徳、この先に世界に希望はあるのでしょうか。
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