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ビリーブ 未来への大逆転のminoriのレビュー・感想・評価

ビリーブ 未来への大逆転(2018年製作の映画)
3.6
男女差別への問題提起という点においては、これ以上無い理想的教材のような作品でした。
まさしく現代の日本人が観るべき映画かと。

観ている此方側が怒りを感じるぐらい、ありとあらゆる性差別が作品内に詰め込まれていた。
別に個人的には過激フェミニストってわけじゃないけれど、我々女性は今もなお日常的に、作中に出てくるような性差別的言動や行動の被害を受けているのだという事を、特に男性には知っておいてほしい。
男性自身も「男らしさ」という概念を押し付けられ、男らしくないと判断されればそれだけで白い目で見られ、苦労している人も多いと思う。
性差別という問題は、それだけ根深いものなのだという事を感じさせられる作品だった。

ただし映画的には、描くべき出来事に対する尺の配分が微妙だった。
さほど必要性の無いシーンの尺が長く、中盤以降に色々と詰め込んだ感が否めない。
無駄な部分は削ぎ落とし、しっかりと起伏のある内容に仕上げられたんじゃないか…と思わずにはいられなかった。
ラストも、文字だけのコメントで済ませるのではなく、きちんと映像として描いてほしかった。

あと、「法律が男女差別を認めてしまっている」という状況に真っ向から立ち向かっていく女性と、妻を支え共に闘っていく夫を描く…という基本スタンスは良かったものの、そもそもの始まりである訴訟内容には少々疑問を抱いた。
まあ裏を返せば、こういう訴訟でなければ突破口にならないぐらい、当時の差別が酷かったというのもあるんだろうけれど。
イマイチ納得がいかなかった。

最後に。
これを読んでいるあなたが男性だろうと女性だろうと、
性差別は何処か遠い国で起きている出来事の話じゃない。
あなた自身に関わる話である、という事を忘れないでほしい。
私も、忘れないよう努力していきたい。
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