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幸福なラザロのqのレビュー・感想・評価

幸福なラザロ(2018年製作の映画)
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ラザロを見ていてしばらくは、目の前の世界を何のためらいもなく真っ直ぐに見つめるその瞳の奥には反射する光だけがある、ほとんどロボットのような存在だと思った ただ、身分は違うけれど誰よりも無邪気で孤独な人間と「兄弟」になってはじめてラザロは自分の心がこんなにも多様に動くということに気づいたようだった 彼を追いかけるうちに時間をも彷徨うことになったラザロは他者の目ではより不変的な存在になるけれど、進化した未来でふと過去がよみがえって涙をこぼすように彼自身は少しずつ確かに変わってゆくのだろう 過去や未来を思うことはひとりの人間として今生きている証であり、ロボットやら天使やらにも見える彼だってそれは同じだ そのささやかでたくましい変化を今度はスクリーンで観られたらいいな

最近の人生の退屈さは現在だけを見るようにしていたからだろうか、やはり過去のわたしも未来のわたしもここにいると思えた方が苦しいけどわたしは安心するらしい
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