幸福なラザロの作品情報・感想・評価・動画配信

「幸福なラザロ」に投稿された感想・評価

もし現代社会に聖人君子が存在したら.という寓話でございました.こんばんわ三遊亭呼延灼です.
そのための舞台として前半は世間から隔絶した寒村を,そして後半には現代のイタリア都市部を用意し、そこに聖人君子を落とし込んだのが本作.
ただの寒村ではなく、情報が途絶しており領主が違法な小作制度を保持し続け、農民から搾取し続けるような村.周囲の山々に野生の狼が生息するような、そんな寒村にもヒエラルキーは存在し,誰にも逆らわず何も望まないラザロに対して、小作農達は事あるごとに労務を押し付けます.それでもラザロは微笑みを絶やさず,ややもすれば白痴にすら見えてしまいます.そしてある事柄がきっかけで寒村の実情が明るみになり,小作達は村を出ます.ラザロ一人を置いて.
その何十年か後,名前の通りラザロは復活します、若いままの姿で.そして今度は都会に赴くラザロ.偶然に元小作親子に出会い,さらには領主の息子とも出会います.都会にあってもラザロは何も変わりません.がそうであればあるほどに、周囲との差異は明瞭になり、ラザロの異質さが先鋭化され,ついには神格的存在にまで昇華されました.当然のように周囲の人々にラザロが理解できません.そして理解できない存在を人々は恐れます.結局迫害されるラザロ.最後には・・・

視聴前尺127分長ぇなと思いましたが,観始めたらあっという間でした.恐ろしく地味な作品なのに.盛り上がる要素も演出も何もないのに.お好きな人にはたまらない作品であることは間違いないでしょう.そうですねぇ,綺麗な「プラットフォーム」といえば,分かる人にはわかって・・・やっぱ無理かぁ・・・・・・・・・・・・
友二朗

友二朗の感想・評価

4.7
「音楽が私達を追ってきた」

"正しい"幸せとは。

足を止めて涙を流すラザロ。
誰かを搾取する事でしか生られない人々。それを強制する社会。

どんな生き方が正しいのだろう。
誰に縋れば助けてくれるのだろう。

善に生きる弱者と悪に生きる強者の幸福度など溢れるほどにテーマ化されているが、考えれば考えるほどに分からず、なんとも哀しくなる。そんな事を繰り返して他人に揉まれながら生きていくしかない。

考えることなんて無駄ではないか。自分はよく、話が通じないと感じたら口を開けたまま言葉が出てこなくなる。今思うとこれは自分の方が遥かに愚かだった。自分の外に出さないと思案はこの世に残らない。

"この社会を生きていく上で正直は何の値打ちにもならず、思いやりでお腹は満たされない"

これには否定したくなるどこか薄っぺらい自分がいるが、この映画はそんな自分にありありと現実を振りかざし、しかし突き刺す事はなく憐れむような目を向けて去って行く。

では自分は何をすればいいのだろう?
こんなにも無力感を突きつけてくる構成、そしてラザロ。

救っても、救った後に救い続けなければ救ったことにならないのではないか。そんな事はおかしい。おかしいけど、救うときにはそれなりの覚悟も必要。

「あなたが望んだから」

もう演技じゃない。眼が素晴らしい。
言葉通り映画"体験"だった。

自分は本当に僅かな知識と経験しか持っていない事を痛感する。

個人的にはタンクレディに一番同情してしまう。世界が悪いのか彼が悪いのか。

賃金の競りなんか初めて見た。

16mmフィルムでの撮影が斬新。
証明が使われていないのか、映像の暗さがリアル。黒のベタに味があった。

重厚な、残る一本。
読んでくれてありがとう。

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「私は小作人を、小作人は彼を搾取する。それが世の中の仕組みよ」
「彼は誰も搾取しない」
「まぁ無理でしょうね」

「お前には何も残らない 風だけだ」

「それは善人の匂いだった」

「僕らは兄弟なんだ 半分だけね」

「ラザロ おやすみ」

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⚠️以下ネタバレ注意⚠️














この二段階構成。
前半の村の生活からの救済でラストに悲劇があれば十分に傑作だった。そこから更に街での極貧生活を見せつけられて思い切り心を握られた。

それを見ても変わらず、純粋であり続けるラザロ。彼こそ残酷で怖く写ってしまう。

この星のどこに行けば"正しい"幸せがあるのでしょう。
現代版『浦島太郎』?
老狼は神の使い?

伯爵夫人が小作人を搾取し、小作人はラザロを搾取する…
働き者で純真で無知なラザロが一番幸福なら“知らぬが仏”ってことになるのかな。

悪魔だけは場所を変え搾取し続けてる
入

入の感想・評価

3.9
侯爵夫人は小作人を搾取し、小作人はラザロを搾取する。その搾取の構造から脱したのかと思いきや、違法搾取から合法というか現代の黙認されてる搾取にスライドされただけという現実。

あと、貧しくて仕方なかったけど聖人のラザロは真っ直ぐすぎて笑われてたけど、みんなラザロのような精神を必要としてた気がする。でも現代のシステムに搾取されてる人にとってはラザロみたいな聖人は疎ましくて消えてほしいものなんだというその事実もショックだし、私もちょっと鬱陶しく見えたことを反省した。
ごんび

ごんびの感想・評価

3.2
幸福なラザロはどの目線からのことなのかな?
ラザロは嬉しさとかはありそうだけど幸福かどうかの区別はついてなさそう。
あの人は何も知らなくて幸せだなって周りの目?
O

Oの感想・評価

3.6
タバコ農園の美しい風景。どんな時も綺麗なラザロの瞳。欲がなく与えてばかり。
私は小作人を、小作人は彼を搾取する。世の中の仕組み。でも彼は誰も搾取しない。
劣悪な環境で賃金なしに働かせられる。それは今も実際に起こっている事実。
コーヒーを一緒に飲んで、企てた誘拐事件のその後。自分だけ時が止まったままで、何も知らないのは幸福か。
音楽が空を飛ぶ。「俺のお守り」って人に言ってもらえるようにならなきゃな。
abemathy

abemathyの感想・評価

4.0
善い行いが報われることを願うのはもう古いのか。
搾取に憤る人々も搾取はしていくスタイルが世界標準なのか。
「マザー!」を観たときと似たような気持ちになった。しんどい。
その

そのの感想・評価

4.7
最近衝撃作と言われるものを見すぎていて心がどうにかなってしまいそうです。
聖人に出会っても自分の生活からは逃れられないのは悲しいことでした。
時間の経過が分からないところも不思議でした。
rico

ricoの感想・評価

3.5
誰かを純粋に信じぬく
ラザロみたいに生きたい

無理だけど
(町田君の世界でも同じ様な事言ったな)

でもラストは悲しすぎる
最近映画を見られていなかったんだけれど、こういう映画に渇いた気持ちのときに抜群に満足感を与えてくれるタイプの、めっちゃ映画らしい豊潤な作品だった。

まずラザロの顔。こんな適役いる?てくらいの、見ているだけでありがたくなってくる目元をしていて、なんだかあわれで、でも尊くて、ふとした瞬間に泣けてくる。

自然の中でフィルムで撮影されているからこそ意外に感じたのは、撮影手法や役者の動きが幅広くて挑戦的。演劇のようなカットもあれば、役者が半ばダンスともいえる動きをするカット(←めちゃくちゃ好きだった)もあり、大人数が直立不動になったり、突然壮大な空撮が立て続けに入ったり、結構色々やっている。

イタリアはどうでもいい場所がぜんぶロケ地になるっていうのを見事に表していた。見事に表しすぎて、登場人物たちも用水路を月面に例えていた
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