レインウォッチャー

ある女優の不在のレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

ある女優の不在(2018年製作の映画)
3.5
有名女優の元に届いた、ある少女からの訴え。映像には自ら命を絶つ様が収められていた。
果たして映像は真実?自分にできたことは?女優と監督は少女の村を訪れる。

…というミステリ的導入から、徐々に焦点は別に移される。浮上するのは、イランにおける芸術・女性の現実や、都市と農村の格差。
美しく暮れゆく砂漠の遠景は、夜と共に慣習が孕む魔性、静かだが故に動かし難い暴力性を連れて見せる。

題にもある「不在」の主体が明らかになるとき、それが無言の戦いであり、容易には立ち入らせない聖域であることがわかる。
シンボルに拘る「男」たち、彼らが塞いだ道なんて彼女らには要らない。引いた視点は諦観なのか、エールなのか。