りめんばーみー

ブラック・クランズマンのりめんばーみーのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
5.0
最期のシーンに満員の劇場が静まり返ったあの静寂、皆が息をのんで微動だにしなかったあの静寂。
このことを自分は一生忘れないだろう。


【アンチ・グリーンブック】
『グリーン・ブック』と作品賞を争った本作であるが、圧倒的に『ブラック・クランズマン』の方が力がある、と思うのは私だけだろうか?
『グリーン〜』が悪いわけでは決してない。
むしろ好きな作品で、マハーシャラ・アリの好演やラストのシーンに幸せな気持ちになって映画館を出たわけである。
が、しかし、それだけ。
幸せになってお終い。
心には残らない。


逆に『ブラック・クランズマン』は記憶と心の中にしっかりと刻まれる。
その違いは、差別とは何か、差別の愚かさを明確に具体的に描いていること。
差別とは何なのか?(具体性)
何が根本原因なのか?(そんなものは無いに等しいこと)
差別する側は最終的に何をしたいのか?(理想とも言えない幻想)
『ブラック・クランズマン』は明確にその愚かさを描き切る。

ラストのシーンで、TOHO新宿の満員の劇場が、一瞬だがシーンと静寂に包まれた。
映画が人を変える瞬間なのかもしれない。
それくらい、力を持った作品だと思う。

上映館が、いまいち少ないのが不満であるが、これは交通費と金をかけて損はさせない作品です。
オススメ。
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