南森まち

存在のない子供たちの南森まちのレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
5.0
自分の両親に対して裁判を起こした12歳の少年。彼になにがあったのか。
物語は過去にさかのぼる。中東・レバノンの貧民窟に生まれたゼインは働きに出され、違法に薬物を売ることを生業にさせられていた。彼の唯一の支えは11歳の妹。しかし両親は彼女を近所の男性に売り渡すのだった・・・というお話。
「スラムドッグ$ミリオネア」に似た構成ながら、こちらの方がはるかにリアリティがあり衝撃が大きい。

彼を唯一救おうとしてくれた人が彼よりさらに立場の弱い人間だった、粉ミルクの作り方は知らないが薬物のさばき方は知っている、等のエピソードの皮肉の効き方も凄まじい。

愛も絆も信仰も、貧困の前では消し飛んでしまう。
ツラいお話だったな、では済ませられない。