PhilMarks

存在のない子供たちのPhilMarksのネタバレレビュー・内容・結末

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

こういった作品を観て「考えさせられた」で終わりたくないと思った。だが、遠く離れた日本でぬくぬくと暮らす僕にはどうしたら良いのだろう、とも思った。ただ、そういった僕ができることがあるとすればその一つはやはり(陳腐ではあるが)物質的、あるいは経済的な手助けなのかもしれない。そのためには問題そのものを知ることは重要だと思うし、それはシリア難民だけではなく、子どもの貧困という問題は身の回りにもあるだろう。世界で苦しんでいる人に申し訳なく思いながら生きる必要はないと思うし、皆がそういった人に援助をすべきとも思わないが、あくまで僕は力になれることができないかと思った。また、それとは別にできることがあるとすれば、これ以上の争いを起こさないことだとも思った(これもありふれた言葉だが)。ゼインをはじめとした子どもたちの境遇は親からの虐待によるものかもしれないが、そこで話を終わらせるのは浅はかで、社会や国からの隔絶、さらに言えばそういう境遇にならざるを得なかった戦争が根元にあるだろう。結局のところ、あくまで民主主義がある程度マトモに機能している限り、僕たちは正規の方法で争いをやめるよう不断の声を上げていくしかないのかもしれない。よく分からない。
とにかく、映画は子どもたちの境遇だけでなく、ストーリーや幾つかの印象的なシーンを取っても非常に心に残るものだった。何故か、ゼインがサハルの血がついたズボンを洗ってあげた場面が強く心に残っている。彼女がそういうことになったことで待ち受ける運命を知っていてなんとか抗おうとするゼインと、酷い世界が現実的にあることを真に理解していないサハルと。
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