こせ

存在のない子供たちのこせのネタバレレビュー・内容・結末

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

胸が痛い。
子供なのに、半ば強制的に大人になることを強いられるゼイン。貧しいどうこうなんて話ではない。生まれ落ちた親が悪かった。そんなどうしようもない環境のなかで、生きていくゼインの強さ。

しかし、ヨナスを育てるゼインが自分の両親と同じ人格になったのは事実だ。脚を繋ぎ、お金を稼ぐために薬を使うし、タバコも吸う。本人がそうなっていることに気づいているのかは、描写では分からなかった。

本編開始後すぐ、「僕を生んだ罪で」というセリフの重さ。終盤の「お腹の子はどうするの」「生まれるんでしょ」の達観。子供の演技とは思えない。

構成的には現在過去現在で、アバンの部分はどこに差し込まれるシーンなのだろうか。裁判後に友達ができたという描写なのか、はたまたゼインの空想なのか。
この映画のキャストは配役に近しい体験をしている素人だという。監督自身も弁護士役として出演しており、撮影セットなども誰かが本当に使用したものを使っている。

実体験を織り混ぜたアドリブや、撮影後に実際に役者が逮捕されるなど、フィクションとリアルの狭間にある映画である。


全体的に非常に良い映画だった。
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