ヴぇる

存在のない子供たちのヴぇるのレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
3.9
衝撃的な1作で鉛のような重たさが体の奥底に埋め込まれ視聴後身動きが取れないほどだ。

メッセージ性が強すぎて一体何から語ればいいのか悩むほどだ。
貧困によってもたらされた結果という簡単な物ではなく、人間の浅ましさや汚さを絡めて汚濁にまみれた結果が今作なのだろう。

映画としての質はハッキリ言ってそこまで高くはないし、カメラはセンスのない斜めからのアングルや、上、下、影と何度も使用しマンネリするところや、脚本も前半部分は退屈に感じる部分もあった。
が、後半の流れを鑑みるに淡々と流れていくあの状況が恋しくなる程辛く苦しい展開だった。
それだけ今作に篭もる意味は強烈で記憶から拭いきれない。
ドキュメンタリーの様で実話なのではないか?と思わせる程、国や街、人々にフォーカスをキッチリ合わせ疑似体験をしていると錯覚するほどまでに貧困を映し切っているからだ。

総評としては、正にパルム・ドールが好む様な作品であり、重さや深みは底が知れない程のインパクトを持つ衝撃的な1作だ。
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