まいこ

帰れない二人のまいこのレビュー・感想・評価

帰れない二人(2018年製作の映画)
3.3
ひと組の男女がたどる2001年から18年間の物語を、変わりゆく中国を背景に描いた人間ドラマ。
ジャ・ジャンクー監督の公私にわたるパートナーであるチャオ・タオが主人公チャオ、『薄氷の殺人』のリャオ・ファンが恋人ビンを演じた。
第54回シカゴ国際映画祭で監督賞と女優賞を受賞。北京五輪、WTO加盟、四川大地震、冬季北京五輪の決定…… 。21世紀中国の歴史とともに、総移動距離7,700kmに及ぶチャオとビンの旅路が「Y.M.C.A」「CHA CHA CHA」やサリー・イップといった音楽に彩られながら描かれる。

中国の経済発展と変わらない男女の関係性
時代は目まぐるしく変化するものの、時の流れに全てが流されないよう抗いつつ、受容する人たちのお話。基本的にユーモアが散りばめられ、しっとりとした雰囲気が続く。主な展開は二人は一緒に居た、離れて追いかけた、追いかけられて元に戻った、の三つ。三部で医者と微信を交換したり、監視社会を象徴する監視カメラが取り付けられたりと、形から見える時代の変化がみてわかる。関羽のもと、桃園の誓いのように兄弟と盃を交わしたにも関わらず、ビンに悲しい結末が待っているのはなんとも皮肉。

それにしても、街中のおばちゃんたちから"生"を感じる。男女の恋愛とはいえ本編通して女が強く描かれているよう。世渡り上手の象徴なのだろうか。侠の世界を男女の恋愛で回りくどく描いた、とレビューで見かけたが納得した。

田舎の風景と台所の散らかりようが大好き。でもあれ、それほど田舎でなくても見れる風景なのよね。
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