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帰れない二人のknのレビュー・感想・評価

帰れない二人(2018年製作の映画)
3.5
中国の激動の17年間の中で、自分を持ち上手く時代に乗れたチャオと変化していく時代に戸惑い受け入れられなかったビンとのコントラストが切なかった。女性の気丈さと男性のプライドゆえの脆さを感じた。チャオが出所したときにビンに新たな恋人がいるというのがどうしようもなく変わってしまう人間の心や一人で待ち続けられないビンの弱さと共に、時間の無情さを感じた。そんなふうに、劇的なロマンスな展開やありきたりなハッピーエンドが無かったのが、ただの男女の恋愛ものにならずに時代の移ろいとその中で生きる人間の微細な変化を映し出すリアルな作品に感じられた。説明が少ない作品だったからこそ景色や人物に没頭できた。ビンがいなくなった後にドアを蹴って開けるところが好き。監視カメラの映像で終わるのも、監視社会へと変化した、あくまでも大きな時代の中のふたりということを感じさせた。日本の商業作品とは違った魅力を感じた作品だった。
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