RIO

アップグレードのRIOのレビュー・感想・評価

アップグレード(2018年製作の映画)
3.8
※ネタバレ注意






この作品を一言で表すなら、

“ブラックミラーシーズン3
 ヴェノムの最悪のシナリオ”

どうせよくありがちなB級アクションだろうなと甘く見てたら、とんでもない一級品で面食らった🤯


まず、アクションが凄まじい。
重力を感じさせないスピーディなアクションは斬新だし、そのアクションをよりど迫力に魅せるカメラワークが素晴らしい。

アクションが売りである、この前観たキングスマン3よりも面白いアクションしてたし、無機質な動きと意志のある動きとを違和感無くナチュラルに演じ分ける演技力には度肝を抜かれた。


そして、本作の醍醐味である捻りのカラクリ。

彼女を殺された男の単なる復讐劇かと思いきや、
まさかの、高性能AIステムの支配劇だとは。

アシャを殺した犯人を追わせたのも、
犯人捜査に協力したのも、
その犯人にステムを始末するように仕向けたのも、

すべてステムが、唯一AIに支配できない人間の”心”を折り潰し、宿主の身体を奪い取るためのシナリオだったと。

人間が家畜を大切に育てるように、
グレイの復讐心を少しずつ煽り、
人間の怒り、憎しみ、悲しみを駒のごとく思うがままに利用していく。

エロンが犯人かと思いきや、そのエロンさえも最初からステムの駒だったという衝撃のオチはさすがに読みきれなかったし、

途中で何回かステムとの笑える掛け合いがあったから、それすらも信頼感を利用するためだったっていう、絶望への落差が凄すぎた。

しっかり捻られてるラストだけど、決して雑な展開では無く、観返してみると至る所に説得力の感じれる伏線がばら撒かれてて、

最後に主導権を握れたということは、実は最初から握れたけど、復讐心を煽るためにあえて泳がしていたのか?とか、

アシャを殺した集団に出した命令は、
ステムに反旗を翻すためにエロン”が出した”命令なのか?
それとも、
エロンを支配したステムが、復讐劇を手助けする演出を見せるためにエロン”に出させた”命令なのか?
とか、

1つのシーンだけでもいくらでも考察ができる謎がたくさん用意されてる。

アップグレードというタイトルがステムの進化を意味してることに気づいた時は、本当に鳥肌立った。

考えれば考えるほど、観れば観るほど、謎めいた魅力に気づける。
こんな奥深いアクション作品は中々無い。

SFだからと言って他人事にできない、現実味ある恐怖も感じれる、傑作SFアクション。
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