前作「雪の轍」でパルム・ドール受賞のヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督作品。
出会う人にいちいち食って掛かる息子。
話の節々にトゲがある。
自分が正しいと言わんばかりに挑発して屈服させようとする。
そんな主人公には、ムカっとするが、誰にも思い当たる節があるかも。
特に男性。
自信のある人ならなおさら。
己の揺るがぬ知識を武器に戦おうとしてしまうかもしれない。
客観的に自分自身を観察できる3時間。
それまでの対話は平行線をたどり、終わりが見えないが、終盤に畳みかける詩的な描写が心に染み入る。
試験と違って、何が正解とかはない。
この映画そのものが、人生哲学だった。
ラストは一瞬ドキッとする。