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マックイーン:モードの反逆児ののんchanのレビュー・感想・評価

3.9
タイトルのとおりファッションの"反逆児"と呼ばれたアレキサンダー・マックイーンは、イギリスを代表するファッションブランドであり、大人気のファッションデザイナーだった。

オリジナルブランド、ジバンシイ、グッチと様々で活躍し、デヴィッド・ボウイ、ビョーク、レディー・ガガ、キャサリン妃にまでも愛されていた。

しかし、40歳の若さでこの世を去った。
このドキュメンタリーは亡くなって9年経って製作され、マックイーンの家族、スタッフ等、近しい関係者たちのインタビューで語られている。


ロンドンの労働者階級の出身。
父親はタクシー運転手、学校へも行かずにいた16歳の時、大好きな母親から紹介されて老舗テーラーで働き始め仕立て職人の道へ。
基本を身に付けたが、まだ箸にも棒にもかからない時、単身イタリアへ乗り込み、ロメオ・ジリのアシスタントの仕事を得る。 

帰国後、『ヴォーグ』の編集者だったイギリスを代表するファッションアイコンのイザベラ・ブロウの目に止まったことがキッカケでデビューした。イザベラはパトロンだった。
マックイーンは若いのにメタボ体型で、外見はファッションから程遠く見えてしまうが、チャーミングで明るく人が寄ってくる。並々ならない才能が溢れ出ていて、多くの関係者達が放っておかない。無給でも傍で仕事をしていた人たちがいた。多くの人を惹きつける魅力に溢れていたのだろう。

布の魔術師、緻密と言うより大胆にハサミを入れていく感性。それでいて針と糸🪡で無心に布に向かっている時は何も耳に入らない。
仕立て屋から入った世界にいるデザイナーは正に職人だった。

伝統のあるフランスのジバンシィのクリエイティブディレクターに抜擢される。
自分のブランドとジバンシィとで多忙が重なり、過労、神経衰弱、人間破綻へ...
トム・フォードに誘われグッチへ、ジバンシィと決別する。
脂肪吸引しダイエットに成功するが、多忙は更に過酷になっていく。

そしてイザベラの自殺。葬儀に参列した表情は悲壮感が漂っていた。
その3年後に最愛の母親が病気で亡くなる。
マックイーンは母親の葬儀を前にして帰らぬ人となってしまった。
HIV感染を知り絶望していたらしいが...
自死はどんな状況であれ周りの人が苦しむ。

若き才能を存分に世界に知らしめた。ブランドは引き継がれ残っているけど...
存命なら54歳。本人の作品をまだまだ見たかった。
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