メシと映画のK佐藤

ペット・セメタリーのメシと映画のK佐藤のネタバレレビュー・内容・結末

ペット・セメタリー(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

S・キング原作映画の中では個人的にお気に入りの一本であるペット・セメタリー。
そんなお気に入りの作品がリメイクされると聞いた時は心の中で小躍りしつつ、大好きな作品故ダメなリメイク略してダメイク作品になってたらどうしよう…と云う不安もありました。
残念ながらその不安が的中しちゃいました…😭

原作未読であくまでリメイク元(以下「原典」と言います。)との比較となるのですが、原典の核であり面白い部分って、「分かっちゃいるけど止められない」と云う人の業だと思ってます。
禁断の地に死者を埋めれば生き返るけど、生き返って来た者は邪悪な別物になってる。
それでも死んだ子供を生き返らせたい…と云う業が、今回のリメイクでは尽く薄味にされてしまっている。
これが個人的に最もダメでした。
原典だと生き返った息子(リメイクでは姉のエリー)が妻レイチェルを殺した事によって別物となった事を主人公のルイスは確信し、再び息子に死を与え、今度は殺されたレイチェルを生き返らそうとする…と云う人の業には果ては無いという実にテーマ性に富んだ切ないホラーに仕上がっていました。
ところが、本作ではエリーが殺害したレイチェルを禁断の地に埋め、自身を殺そうとしたルイスを蘇ったレイチェルと共に二人がかりで返り討ちにし、彼もまた埋めて見事ゾンビファミリーになった三人は生存した息子に手をかけようとしてエンディング…と云う上述の原典の核となる部分を粉砕するありふれたホラー映画のエンディングを迎えてしまいます。
原典と全く同じ事をやるリメイクはつまらないので色々冒険をしても良いと思いますが、原典の核を蔑ろにするリメイクはダメイクだと思います。

上述しましたが、リメイクでは娘のエリーが事故死します。
パンフ掲載のスタッフインタビューによれば、幼い息子ではなくある程度物心ついたエリーを蘇る死者にした事によって、悪という概念を深掘りする等、言葉がまだ話せない幼児では成し得ないことが出来たそうです。
いやいや…言葉をろくに話せないあどけない幼児だからこそ、ギャップの邪悪さが際立つんでしょうよ…😅
この変更やら意味ありげに登場して何の意味も無かった謎の仮面行列やら、本作の変更点が尽く失敗してたのも頂けませんでした。

本作で良かったのは、エリーを演じた子役の演技力の高さ位でありました…😢