春とヒコーキ土岡哲朗

七つの会議の春とヒコーキ土岡哲朗のレビュー・感想・評価

七つの会議(2018年製作の映画)
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こりゃ池井戸作品、人気なわけだ。

会社を命がけのやり取りの場にするキャラクターたち。
エリート社員で香川照之に気に入られていた片岡愛之助がなぜ守られずに処分されたのか不思議で、すぐ引き付けられる。香川照之の暴言と、及川光博の追い詰められっぷりで、この登場人物たちを取り巻く世界は、強い者と弱い者の力の差が歴然。弱い者は命を握られていて常に死の緊張感がある感じがまざまざと伝わってくる。
そこで、片岡愛之助が簡単にそのポジションを奪われる。なぜか序列を無視した性質を持っている野村萬斎というジョーカーの異質さが際立つ。池井戸潤原作作品を初めて見たが、会社での上下関係のバトルという現実の中でも現実な題材を、濃くしてエンタメにしているのは、自分たちの身近な話が壮大だと言ってくれているようでもあり、皆が虜になるのが分かる。

池井戸作品で演技する役者が見たくなる。
野村萬斎の怪しい演技は、一体こいつがどんなヤツなのか真相まで見ないと怖い、という求心力がある。
役者陣の中で遜色なく自分の役目を真っ当しているオリラジ藤森さんがかっこいい。
権力者たちの怖さは、『アウトレイジ』な怖さとは違う、会社内での権力を振りかざす怖さ。