すずや

七つの会議のすずやのレビュー・感想・評価

七つの会議(2018年製作の映画)
4.5
filmarks限定試写会で鑑賞。たくさんの仕事帰りのサラリーマンの間で、学校帰りの高校生が紛れて観るのは多少気恥ずかしかったけど(笑)、2時間しっかりと楽しみました。
池井戸潤クオリティは裏切らない。どう転ぼうが好きだなあ…(若干ラストの展開というか終わらせ方には疑問があるけど)

「サラリーマンって、難しいね」
(役名はあえて伏せるけど)吉田羊が放つこのセリフが、この映画のすべてなのかなという気がする。

企業における"正義"とは何か。

正義を曲げて会社の為に働くのか、はたまた正義を守って出世街道を諦めるのか。
序盤ではなにもかもを放り出してダメ社員の烙印を押されている八角もまた、企業に相容れない"正義"を持つ人物。
だって、企業における"正義"は上司をたて、業績をあげることだから。時に不正だって求められる。それに相容れない人物は容赦なく飛ばされていく。

本っ当に皮肉だなあと思ったのは、そうやって立てられた上司の方は常にいい所取りを望み、責任は取らない、そういう姿勢をしていること。
部下が勝手にやったこと。下請けが勝手にやったこと。そう言って逃げて、気づけば上司の責任はうやむやになり、部下がすべての責めを負うことになる。上司には光栄、部下には責任。今日本の企業が抱える体質を痛烈に皮肉ってると思うし、それで何に辿り着くというのか。
八角の言う通り、ちゃんとした仕事になったのはドーナツだけだわ。

あちこちに展開の伏線になる仕掛けがあって、今思い出してすごいニヤけてる…わかって観てたらもっと面白いんだろうなあ…と思った。野球のグローブとドーナツの箱の伏線は特にびっくりした。

ラストの八角のセリフが、きっと池井戸潤が言いたかったことなんだろうなあ…あと、逃げ切った人がいるってのがまたシュールですっっっごい好き。

こちとら『半沢直樹』とか『ルーズヴェルト・ゲーム』とか『陸王』とか池井戸作品大好きな者なので、所々、池井戸アースの小道具があるのにニヤッとしてしまった。東京中央銀行とか。

役者さんも無駄遣いがすぎるくらい豪華。及川光博がよろよろしてるの見て「がんばれ!!」って心の中で叫んだよね(笑)でも豪華な中で1番輝いてて可愛かったのが及川光博演じる原島と一緒に行動している浜本っていう女の子。朝倉あきって女優さんのようだけど、いままで見た事がない人だったからびっくり。めちゃくちゃ可愛かった。誰なんだ一体…
すずや

すずや