じゅんP

七つの会議のじゅんPのレビュー・感想・評価

七つの会議(2018年製作の映画)
3.0
何十年前の感性でつくってるの?

現在進行形で残る企業の体質…それを踏まえて先鋭的な提示をするなり、批評的な視点入れられないなら何も言ってないのと変わらないから。

例えばストーリー上、ある程度以上の役割を与えられた女性2人。
朝倉あきは「噂好き」で「恋愛に振り回され」て「あくまで男性をサポート」するOL像、吉田羊は「男の仕事に口は出さず、いつでも全肯定で支えてくれる」良妻像(たとえ元妻であっても!)からビタ1ハミ出しません。

こんな女性像しか描かないor描けないなら、作り手がその意識を自分たちの中に内面化してると取られてもしゃーないすね。
女性だけでなく、企業や仕事の描き方も同じ。

本編終わりからエンドロール頭にかけて、主人公がねちょねちょと吐き出す独白、マジで気持ち悪い。
諦観込みの冷笑しぐさが回り回って自分たちの首を絞める、の実例は現実社会に腐るほど転がってるわけで。

独白の中で、日本人に根強く残るサムライのメンタリティ…みたいなこと言ってましたけど、そんなもんみんながみんな持ち合わせてねーよ!士農工商知らんのか。

結局どこまでも強者たる自分たち目線なんだなと。
ケン・ローチやポン・ジュノ、是枝裕和あたりの作品が、結果的に弱者の物語として消費されてしまう可能性とは、まったく別のイヤな目線。

最近も某新作邦画の監督の、余りにも不誠実な物言いが話題になってましたけど、表層のみを消費していくような態度を、隠そうともせずに作り手や配給側が持ち合わせてるの見ると、軽く絶望します。

変顔大会としての評価はともかく、目指すところであろう”痛快”に類するイメージに関しては「いつまでその(色んな意味での)昔話に付き合わせるの?」としか。
フィクションの力をナメないでくれ。
じゅんP

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