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夜明けのodyssのレビュー・感想・評価

夜明け(2019年製作の映画)
3.5
【若者も初老も生きづらい】

自殺未遂の若者(柳楽優弥)を拾った初老の男(小林薫)の物語。

若者はもちろん、初老の男も事情がある身ですが、男は何とか若者に職を与えてまともに生きさせようとする。しかし・・・という物語。

場所が地方都市で、初老の男が小さいながら木工所を経営しているという設定がミソ。つまり、いわゆる「手に職を付ける」という言い方がよく当てはまる職業なんですね。

しかし、こういう職業は現代社会では若者があまり集まらないし、経営も楽ではない。それでも地方都市の一角で地道に仕事をこなしている初老の男が、若者を何とか・・・という筋書はそれなりに説得力を持っています。

といっても、若者が年寄りの意向にそのまま従うわけでもない。その辺が人間関係の、いや、そもそも人間の難しいところでしょう。

この映画は言うならば純文学ですから、ありがちな美談や予定調和には終わっていません。ただ、人間の難しさを描くなら、脇役も含めてそうしないといけないと思う。その点が、いくぶん物足りない。
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