Torichock

ワイルド・スピード/スーパーコンボのTorichockのレビュー・感想・評価

4.4
「Fast & Furious: Hobby & Shaw / ワイルド・スピード SUPER COMBO」

※これから話すのは、映画と格闘技とプロレスについてである。


90年代後期から〜2000年代初頭にかけて、プロレスは冬の時代を迎えていた。
もちろんそれは、PRIDEをはじめとするMMAの普及やK-1などの、格闘技のムーブメントによるものだった。
僕としては、プロレスも観ていたし、格闘技ももちろん好きであったのだけれども、格闘技のムーブメントにはかなりしっかり乗っかったので、その間はプロレスをおろそかにしていた部分は、多分にあった。
アントニオ猪木に対して恨み言を言うのは申し訳ないけれど、プロレスラーの格闘技界への参戦というのは、プロレス人気を下げる要因の一つでもあったと確信している。
(もちろん、ドン・フライvs高山善廣戦とか、ハイアンvs石澤a.k.aカシンとか、好きな試合も沢山あるけれど)
かつて、「プロレスラーは強いんです」と桜庭和志が発言したことは有名なのだけど、総合格闘技が台頭してきてからは、その言葉がうわ言のように響いていた時期もあったかもしれない。

一般の人でさえ、ミルコのハイキックや打撃のセンスを口にしたり、ノゲイラの技の引き出し、ヒョードルを筆頭にするロシア人のスキルの高さ、GRABAKA勢の美しいスイープや、マウントポジションを取るだけで歓声が湧くような異様な事態であったから。
その時代に、コーナーポストから飛んだり、ロープエスケープがあるプロレスは、かなり下火に見られていたかもしれない。

映画の世界はどうだろう。

僕は2000年代後期から観るようになったので、昔のことはわからないが、やはり
アカデミー賞◯部受賞!だの、役者の演技がどうこうだの、脚本がどうこうと、一般の人が口にするのが増えたような気がする。
もちろん、映画はそういう厳しい目を持ってみてることによって、作り手側も磨かれていく側面もあるのかもしれない。
だけど、そういう時に比較されてバカにされるのは、大味大作アクション作品なのだ。
もちろんひどいものも沢山あるし、そういうジャンルと位置付けされてバカにされるのを、どこかで楽しんでもいる部分はある。

だけど、そもそも映画としての楽しみ方が違うのではないか?と。

好きな俳優が、嬉々としてアクションをしまくりながら、物語を腕力で強引に突き進めていく感じは、つまらないとか酷いとかではない、もっと突き抜けたものがあるんじゃないか?と僕は思う。
そして、そういう作品がうっかり、立派な作品にタイマンで勝ってしまう時もあるじゃないかと。


プロレスに話を戻そう。

中邑真輔選手が新日本のリングを去る時にこう言った。

「プロレスが一番すげぇんだよ!!」

かつて、桜庭が言った「強い」という言葉は使わなかった。だけど、それでも納得させるものがあった。

こう思う。
プロレスは、「最強」じゃなくて、「最高」なのだと。
プロレスは、「最高」だから「強い」なのだと。

「最強」は、いずれ「最強」じゃなくなる。
負けた時、消え失せる。
でも、「最高」は消えない、永遠なのだ。

映画もそう。
「最強」は毎年更新されるけれど、「最高」はいつまでも心に残ってるのではないだろうか?

「MAD MAX」みたいな「最強」で「最高」な作品は、マーク・ハント的でそれもいいけど笑

試合に負けても勝てるのは、プロレスだけなのだ。

僕は、バキバキにガチンコな格闘技も好きだし、真剣勝負な映画も好きです。
だけど、「最高」を目指し続けるプロレスも、アクション映画も

そして、この愛すべきプロレス映画も



愛してまーーーーす!
Torichock

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