サザンガク

Diner ダイナーのサザンガクのネタバレレビュー・内容・結末

Diner ダイナー(2019年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

映像の派手さはさすが蜷川さん。
蜷川実花による、蜷川幸雄追悼映画だったな、という印象でもある。

キャラクターの濃さでいえばもうオタクの好きなそれ過ぎて、窪田正孝の寡黙な殺し屋や、殺し屋軍団宝塚とも言うべき真矢みきさんのカッコ良さ。
玉城ティナさんのちょっとどんくさい流され女子も、すごくハマっていたし、何より傍若無人な店の王を演じられるのは藤原竜也だけだろうという納得感も高い。

キャラクターの色が濃いからこそ、キャラクターの感情を雑に見えさせてはダメだった。
スキンのトリガーを引いたのは明らかにカナコだったのに、そこへのフォローは薄いまま、なぜかボンベロには心を許して体(キス)まで許している。
最後、憧れのメキシコで店を持った彼女の元に訪れた姿を見せられるのはなんだか興ざめしてしまった気持ちになった。

今、これを書きながら松尾スズキ「クワイエットルームにようこそ」のラストを思い出した。
薬物中毒者の隔離施設の中での悲喜こもごもの末、友情も築いたように見せかけて、物語のラストで主人公は中でのつながりを全てキレイさっぱり消し去ってしまう。
異常な体験をした濃密な日々は、新しい生活には足枷になるのではないか?

後味の好みの問題であるのだろうが、私には少し救いが多すぎるように感じてしまった