おと

青の帰り道のおとのレビュー・感想・評価

青の帰り道(2018年製作の映画)
4.5
とてつもなく密度の濃い、完璧だったあの頃と現在進行形の自分を抱える7人の群像劇。

群像劇という名ばかりの主演数人のお話が多い中、誰が主演なのか分からないほどの人間性の濃さと厚みに圧倒された。
それは演技や脚本段階で作り上げられている一人一人の人物像はもちろん、時間的な尺の部分でもかなり均等に割り振られていたと思う。
たった2時間に、7人の人生が詰め込まれていて素晴らしかった。

過去を引きづり、その過去をもってして未来へと続いていく。
過去を振り返っていても仕方がないから未来を見るしかないというのは分かっていても、やはり人間は過去を振り返ってしまう生き物だと思う。
そういった一種の弱さや、くすぶっている自分、先が見えない不安、周りに誰もいない一人きりの世界、そういった時間も含めて人生であり、無駄にしか思えないような事もいつか笑える時がくる。
おかげさまで深みのある人間になれましたと言えるようになる。
そんな希望を持たせてくれる。

綺麗事では描けない世の中に、綺麗事を見つけようという気持ちにさせてくれる大切な映画になった。
おと

おと