今やどこそこ大学の学部長様、高橋伴明の新東宝時代の作品。助監督には米田彰・周防正行。
どうやらプロットは漫画の丸のままイタダキらしいのだが、妙な怒りと諦念が渦巻く性の煉獄が映像として定着されている事に慄然とする。こんな映画を傑作と言ってはいけない。脚本は監督自身の手による。
評価すべきものがあるとしたら、真正面からエロ映画として突き抜けて行こうとするそのジャンル映画としての「過不足なさ」、そこ(絡み)をこそ中心に構築された性映画である事であると、ピンク映画だけが持ちうるうら寒い画面、長田勇市撮影の捉える冷え冷えとした漁村のあり様、アパートの一室の閉塞である。風景映画と言っていい。
本作の下元史朗が演じてるこの世代の「俺たちには戦争があった」、みたいな言説が俺は大嫌いなので全然感情移入はしないんだが、80年代初頭に既に出口を見い出せず引きこもる男性像が描かれているのは風俗映画として興味深くはある。
白痴のまま色キチガイになる役の山地美貴の芝居が痛々しい。水月円は懐かしかった。忍海よしこは高橋伴明組なんだな。好みだ、役柄も含めて。