netfilms

レッド・ノーティスのnetfilmsのレビュー・感想・評価

レッド・ノーティス(2021年製作の映画)
3.7
 重大犯罪者を追うFBIのトップ捜査官ジョン・ハートリー(ドウェイン・ジョンソン)は、大規模な美術品泥棒計画を仕かける世界最高の詐欺師ノーラン・ブース(ライアン・レイノルズ)と凄腕の大泥棒ビショップ(ガル・ガドット)と出会い、とある理由から彼らと手を組むことになる。腕っぷしは強いが少々単細胞で激情家のロック様と、口八丁手八丁で脱獄も得意なライアン・レイノルズとが互いの立場の違いを乗り越えて「バディ」となり、古代から伝わる国宝級のお宝を尋ね、世界中を渡り歩く。そこに宝石に目が眩んだ色仕掛けの大泥棒ガル・ガドットが2人の間に割って入る。このトライアングルの策略や嘘も詭弁も駆使した宝探しゲームを描くのだから、率直に言ってつまらないはずがない。映画はローマの国王アントニウスとエジプトの女王クレオパトラとの悲恋を初期設定に置くのだけどそんなことは観てすぐに忘れたって構いはしない。ローマ~バリ島~極寒のロシア~スペイン・バレンシアと息つく暇なく怪しい2人が世界中を駆け抜ける。ジョンとノーランのすたこら珍道中こそが今作の見ものなのだ。

 全体の雰囲気はスティーブン・ソダーバーグの『オーシャンズ』シリーズと『ワイルド・スピード』シリーズを足して2で割ったような塩梅だが、世界各地の場面はそれぞれに様々なアクション名作の雰囲気をちょこちょこつまんでおいしいとこどりしてくる。ローマの場面なんて『007』よりも様になっているし、ロシアの監獄脱獄の場面はフランクリン・J・シャフナーの『パピヨン』であり、終盤のお宝探しの場面なんてスピルバーグの『インディ・ジョーンズ』シリーズの雰囲気満点で短いが楽しい。まさに雰囲気はバイキング形式の料理そのもので、和洋折衷何でもござれの出血大サービスで迫るのだけど、ちょうどコロナ禍に映画全体が撮影されたようで、撮影後のポスト・プロダクションにおけるVFXの過剰な書き足しが非常に残念である。特にクライマックス場面の真っ逆さまの滝の貧相な描写とかもう少し何とかならなかったのかと思わなくもないが、とにかく底抜けに明るい雰囲気が全体に漂う。今作からはヒット作へのプレッシャーや、ファンを納得させる作品を作らねばという気負いが良い意味でまったく感じられない。コロナ禍を乗り越え、ようやく映画を観ようと思ったらどの製作会社の映画もシリアスで息苦しい作品ばかりで疲れも溜まる一方だが、その割を食う形でのネトフリ配信公開は寂しくもあり、いやはや何とも言い難い。
netfilms

netfilms