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記者たち~衝撃と畏怖の真実~のchamのレビュー・感想・評価

4.0
当時は世の中に起きていることを当たり前に受け入れ漠然と生きていたけど、9.11からイラク戦争へと、それが正義だと念を押されるように進む世の中の空気を思い出した。
あのテロのとき10代だった私が大学生になり就職し社会人になっても世界は平和になるどころか犠牲者は増える一方で、いったい何のために戦争を始めたんだと恐怖心を抱いた頃には9.11で犠牲になった以上の数の人がこの戦争の犠牲になっていた。
この映画で主人公とされる記者たちは、劇中の最後にもご本人が登場していたけど、決まった事しか報じない大手メディアからは孤立し真実に迫ろうとすると、だからお前たちの新聞は売れないんだと罵られていた。
今もなおそういう風潮は、目の前のニュースを見ていても見受けられる。ビジネスのためには垂れ流しの記事だって書くし、少し勉強すれば分かる相手の事も素知らぬ顔で、事実を無視した過激な見出しだってつける。それだけのことで、どれだけの無力な人々が辛い思いで命を落とし、今もなお苦しむ人々がいるのだろう。NOという感情がなくなる事は人間の心を手放し悪魔になる事だ。
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