記者たち~衝撃と畏怖の真実~の作品情報・感想・評価

「記者たち~衝撃と畏怖の真実~」に投稿された感想・評価

Mi

Miの感想・評価

4.0
すべてにおいて丁度いい(いい意味で)
映画の熱量も、尺のタイトさも、観客を飽きさせないテンポ感や、くすっと笑えるような気の利いたシーン、そして信念を貫く人たちのみに許された心を鷲掴みにされるような魅力的な台詞

蛇足とさえ思えた恋愛パートも蓋を開ければ、私たちとさほど変わらない知識量の人間がそこにいることで、より状況を捉えやすくさせてくれていた

数字ほど問題を端的に表し、身近に感じさせてくれるものはない

こういう誠実な映画とかを学校の教材として使って欲しい
ぐち

ぐちの感想・評価

3.3
地味だけど堅実で誠実な映画。

この題材で事実の話なのだから劇的な盛り上がりは少ないしヒーロー映画のようにはならないんだけど、それを無理に盛り上げてヒロイックに酔いしれないのがこの映画の誠実さだなと思った。

しかし映画として面白く見せるために、尺を90分とコンパクトにして、テンポよく編集しあちこちに軽妙な笑いをちりばめるという手法が上手い。

ただそのせいで良くも悪くも引っかかりの少ない作品になったかなとは思う。
ネタ集め裏どりの苦労やナイト・リッダーだけが孤立してる感、記者たちの自分は本当に正しいのか?といった苦悩や孤立無援な不安感などが薄く感じた。外圧も子供のイタズラみたいなメールだけだし…
まぁこの映画を見る多くの層がリアルタイム世代なので、あの頃の世間の空気感はわかるでしょってことなのかもしれないけど。

恋愛パートは最初はとってつけたようでノイズだと思ってたけど、女性キャラは不安視してたほど恋愛ワールドNPCというわけでもなくちゃんと意思と人格のある人間として描かれてたので安心した。役割としては恋愛要素や女っ気を入れようというよりは、観客に寄り添う視点としてのキャラという感じ。観客と似たような立場・知識量の人間を出してわかりやすく説明する役というか。ちょっとその役割が前面に出すぎてる気もするけど。

あの頃大勢いただろう 愛国心に駆られて軍に志願した若者たちの視点もそうだけど、恋愛パートも物語を単調にしないためのアクセントとして機能してたと思う。
家族シーンだとどちらかというと「安定」になるから、キャラや観客の好奇心を揺さぶるなら記者が他人と絡んだ方がいい。他人がスムーズに主役の記者に絡むとなると…男女の出会いってのがオーソドックスなやり方なのかなぁと。
できれば女性キャラをただの恋愛要素にするより同僚記者とかにして欲しかったけど、実話ベースの話で短尺ならばキャラを実在男性少数に絞るのは仕方ないか。
もっと尺が長ければ違ったやり方があるしそっちの方が良いけど、『短く見やすく広い層に届く作品』を目標にするには適切な手法じゃないだろうか。

もっと手っ取り早い手法はヒーロー映画のように過程や結末を劇的に演出することだけど、この映画はそうしなかった。
実在の二人の記者は『ファクトを問い続け、政治家の前に専門家に意見を聞くことの重要性を語っている』んだとか。
そんな誠実なジャーナリズムを語るにふさわしい、誠実な映画だった。

この映画はジャーナリズムについて語ってるけど、メディアは権力だけではなく視聴者におもねる。劇中にもナイト・リッダーの記事を載せない新聞が理由として「読者は求めていない」というセリフが出てくる。
テレビは視聴率が取れるニュースや意見に傾く。
つまりあの頃のニュースの偏りは決して権力者と怠惰なジャーナリストのせいだけではない。我々がそれを求めた。
もちろんあの時代のアメリカだけの話ではない。
そりゃ信じちゃうよね、ブッシュ大統領が演説して、NYタイムズやワシントンポストが『イラクに大量破壊兵器』って報じてたら。

ホームパーティーのシーンで、政府の発表を疑問視する側の記者が、恋人のお父さんと親戚からまるで裏切り者の非国民みたいな言われ方をされていた。

大手メディアが放つ記事の影響力がいかに大きいか。

報道の力と群集心理ってほんと恐ろしいね。

国民の愛国心を煽って、戦争起こすことまで正当化させちゃうんだからね。

無理が通れば道理引っ込むだ。

主人公の記者たちが圧力を受けたり、非難されながらも真実を追い求めて地道に取材を重ねていく、その迷いがない姿がカッコよかった!

局長役のロブ・ライナーも良かった!

結局、大量破壊兵器は見つからず、NYタイムズが謝罪記事を出した。ってところで映画自体は終わるけど…

その顛末には、スッキリしないモヤモヤ感が残る。
mamepia

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3.8
『バイス』を観てからの鑑賞だったので、いかに巧みに国民が愛国心の名のもと、巻き込まれていったかが分かった。
時系列や政治家や記者たち、情報の動きも『バイス』と合わせて、より鮮明に頭に入ってきて見ごたえがあった。
この映画を見て、今も、情報は鵜呑みにしてはいけないと強く感じた。
かずや

かずやの感想・評価

4.3
9.11当時のブッシュ政権が、どのようにイラク戦争を始めたのか、その無茶苦茶ぶりがわかる。
自分たちに都合の良い情報だけ抜き出して開戦に踏み切ったこと、当時の報道が政権の言うことに疑問を持たず、言う通りの情報を垂れ流していたこと、真実を報じた記者たちへのバッシング、イラク戦争のアメリカ人の犠牲者数とイラク人の犠牲者数が、数十万人以上であること、などなど、検証という意味で、大変有意義な作品。当時の官僚たちが、ウォーターゲートの二の舞にならないように、政権を止めるためリークする姿は本当に勇敢。

検証に留まらず、記者たちの私生活を、時におもしろく、時にシリアスに描いたのは、飽きずに観れてよかった。
編集長を演じた本作のロブ・ライナー監督の演技が上手くて驚いた。


「正しい事を行うのは大変。恥をかくかもしれない。でも誰かがやらなければ。正しかったことは、後に歴史が証明してくれる。」、「権力を疑え。監視を怠れば権力は暴走する。」
『バイス』のアダム・マッケイ監督のこれらの至言・金言は、ジャーナリズムの精神支柱となる素晴らしい言葉だと思う。
https://www.youtube.com/watch?v=OaZnOKtN70U


本作は、検証のための作品は必要だし、歴史的に意義のある映画だ。
miki

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3.7
バイスとセットで観るべし。こちらの方が記者、市民側からの視点なので気持ちが入りやすい。
MasaoIwano

MasaoIwanoの感想・評価

3.9
バイスと逆の視点から描いた映画。イラクに大量破壊兵器がないことを一貫して主張した記者の話。アメリカでも一社を除いて政府に反対の情報を発信したジャーナリストはいなかったということ。ただそのことを映画化することで民主主義の真髄を感じます。上演館が少ないので満席でしたが、残念ながら中高年の男女の観客がほとんどでした。
YukoK

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4.2
「バイス」と合わせて鑑賞。
情報に対してそれは真実か?と常に問うこと。発信者の意図を汲むこと。同時に「基地のある街に読者がいる」「我が子を戦場に送る者の味方になる」ーー自分が発する情報の向こう側にいる人への想像力と誠意を常に持ち続けること。マスコミでも、SNSでも。発信するときも、受け取るときも。とにかく身が引き締まって、当たり前だけど大事なことに改めて気づかされた。
映画の中で一番かっこいいのはボス。とにかく現場の記者の話に向き合い、鼓舞し、先に他紙に書かれても「抜かれた悔しさを忘れるな」とだけ言い残す、さらに自社の記事を使ってくれない他社に自ら乗り込む。こんなボスの下だから記者もプライドを持ちつづけて頑張れるんだろう。
正しいことを報道していても、イラク戦争は始まり、兵士と民間人の命は犠牲になった。後からいくら「ナイトリッダーが正しかった、NYタイムズは間違っていた」と言われても、戦争を止められず命を救えなかったという現実を変えられなかった自責は残るんじゃないか。
そして映画の中で、ナイトリッダーの味方になってくれるのは妻や彼女、一部の取材先だけ。読者の姿は一切描かれない。それがなんとも辛い。メディアが存在意義をもつのは読者の存在あってこそで、社会が動くのも記事を読んだ読者が声を上げてくれるからこそ。実際に現実に影響を及ぼせなかった以上仕方がないのかもしれないけど、読者からのリアクションがなければやりきれないな、と思った。
歴史は繰り返す。ベトナム戦争時はまだ生まれていなかったけど、検証と反省をしたはずではなかったのか。「なぜ戦争をした?」という冒頭の問いかけを忘れないようにしたい。
90分なので中弛みなく観れる。
中盤、トミーリージョーンズの登場でナイトリッダーの新聞社の立場としての弱さが薄れた感じがしてもったいなかった。
ブッシュ、パウエル、ラムズフェルドこんな強敵を前にしながら真実を訴えた新聞社は凄いの一言。
消されてもおかしくなかったんじゃないの?
そしてこんな映画が簡単に出来上がってしまうアメリカってすげぇな。
バイスも観たい。
HRKN

HRKNの感想・評価

3.7
アメリカ史上最大の汚点とも言えるイラク戦争において、最後まで真実を伝え続けた記者たちにスポットライトを当てた映画。巨大な権力や社会的同調圧力を前にして、真実を伝えるということがいかに難しいかを鮮明に描いている。

結構有名な人がたくさん出てて、それだけで花があったけど、それぞれ演技もよかった。ミラ・ジョヴォヴィッチに関しては個人的に今までで一番良かったと思う。

正直、この手の映画は結果として正しかった方の後出しジャンケン感があってあまり好きではない。だが、ことイラク戦争に関しては、明確に政治家に悪意があったし、大手メディアは腰抜け揃いだった。そのことがはっきりしてるからこそ、この映画はメッセージに説得力があったし、ストーリーの中でも登場人物により共感することができた。

同じ時期の副大統領のクズっぷりを描いてる「バイス」も併せてみたい作品。ちなみにまだ自分は見てない笑
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