参鶏湯と三層肉

小さな恋のうたの参鶏湯と三層肉のネタバレレビュー・内容・結末

小さな恋のうた(2019年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

「音楽の力で泣けるが、漂白化された"ウチナー"」

〜〜〜

観ながらね、「良い映画だぁぁぁぁ!!このまま脱水症で倒れる〜〜〜」と思いながら号泣したのよ。しかも私、沖縄出身なのでいろんな思い入れもあって。

けど見終わった後にいろんなことを振り返ってみれば、割と不快な部分が多い作品ではあったと思った。

ご存知の通り、「小さな恋のうた」はじめ、モンパチの曲は幼い頃から刷り込まれた名曲ばかりで、もうメロディー聞くだけで郷愁の念にかられて大変な事になるんだよ。だから出だしも、屋上ライブも、基地前ライブも、ハコでのライブも、全部全部、反射的に泣いてしまう。ただ、それはモンパチの曲が名作ってだけなんだよなぁ!!!

最初の夢シーンの必要性は分からんし、あの、「中立的な立場で基地問題にも複雑な心境で向き合いながら、でも、音楽で越えられるフェンス」がある的な演出。糞食らえって感じです。(怒りに震える敬語)

歴史を知らない若者(実際、若い世代の多くは戦中以外の郷土史、特に近現代史を全くと言っていいほど学ぶ事がないので、なぜ抗議活動があるのか、なぜ基地が沖縄にだけ集中しているのか、なぜそれに対して特に上の世代が怒っているのか、分かってないし理解しようともしてない)に「寄り添った風」の視点で描かれているのが不快だった。監督は「基地についてフォーカスし過ぎると政治的になる」とか抜かしてるみたいだが、それならこんな映画撮るなクソが。(ごめんなさい、あまりの思い入れで口が悪くなる)

主要キャストは皆、「内地顔」。言葉も「標準語」。あまりにファンタジーで、基地の要素を入れながらウチナーを漂白化する各所にとっても憤りを感じた。

モンパチは好きだが、この映画は大っ嫌いだ。

ただ、結構大事なシーンに出てくるポスターが知人の書いたポスターだったり、ライブシーンの観客に友人が出ていたりするなど、その辺は楽しかったので、ちょっと評価を甘くした。