FREDDY

CURED キュアードのFREDDYのネタバレレビュー・内容・結末

CURED キュアード(2017年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

デヴィッド・フレイン監督がエレン・ペイジ、サム・キーリー、トム・ヴォーン=ローラーの共演で制作したホラーである本作は、欧州に蔓延していた感染者を凶暴化させる新種のウイルス"メイズ・ウイルス"が猛威を振るいアイルランドが壊滅の危機に瀕していた中で発見された治療法により、75%の感染者の治癒に成功し回復者の社会復帰が始まっていた一方で、治癒効果の見られなかった感染者への対処が論議されていたとある日に、4年もの感染期間を経てようやく治癒に成功し、身元引受人である、夫の命を奪われ深い喪失感に囚われていたジャーナリストの義姉アビゲイル・レイノルズのもとで暮らし始め治療センターのポーターとして社会復帰するも、感染者のみならず回復者にまで世間の風当たりが厳しく、鮮明に残る感染中の"惨劇"の記憶によりPTSDを患ってしまった上に、アビゲイルにとある"真実"をひた隠しにしていたことで居心地の悪い苦痛な日々を強いられていたセナンが、回復者である自分を迎え入れたことで世間から非難を受けていたアビゲイルに対して罪悪感を抱きながらもポーターとしてではなく感染者の治療に奮闘していた医師のライアンズ博士の助手として働いていたところ、清掃員として社会復帰するも不服に感じ弁護士に戻るべく父親の元を訪れるも、感染中に残虐な行為を働き母親の命を奪ったことで"化け物"扱いされた上に、弁護士どころか市民権さえも失ってしまった現状に不満を募らせていた友人のコナーが、同じ境遇に立たされていた回復者からなる地下組織"回復者同盟"を結成し、5000人もの感染者を安楽死させようと計画していた政府や回復者を化け物扱いし排除しようと襲撃事件を起こしていた市民に対して抗議運動を行っていたことで一度は参加するも、アビゲイルやアビゲイルの息子キリアンとの触れ合いから家族への思いを募らせたことで家族を優先しコナーとの決別を決意したところ、思いも寄らぬ事態に遭遇していく様が描かれた作品となっているのだが、暇つぶし程度になればと何となしに視聴をはじめてみたが思いのほか見応えのある内容となっていて最後まで楽しませてもらいましたし、やはり下地となる設定は惹かれるものがあり使い古された"ゾンビ"という題材を扱いながらも新しさが感じられる一作となっていて個人的には好きですね。感染者を凶暴化させる新種のウイルス"メイズ・ウイルス"のパンデミックが終焉を迎えたその後の世界が舞台であり、これまでに選択肢が限られていたゾンビ化してしまった人間が治療によって回復し社会復帰するという選択肢が与えられた斬新さ、そしてゾンビ化から回復するも記憶が残っているという設定も面白く、この発想やアイデアによって生じたセナンをはじめとした元感染者らの葛藤や苦悩の紡ぎ方も良かったですし、感染者に大切な家族を奪われたアビゲイルや感染者の治療に奮闘するライアンズ博士といった視点からも物語が紡がれていた点も高評価。ドラマ性に長けていて終始目が離せなかったですね。ただ、ホラー映画として視聴してしまうと物足りなさを感じてしまうでしょうし、ゾンビ映画らしい騒動が描かれてはいるがわりと地味。ホラー映画として恐怖を求めるのではなくゾンビを扱ったドラマ作品として人間模様を楽しむことが前提となるかと。
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