ノラネコの呑んで観るシネマ

CURED キュアードのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

CURED キュアード(2017年製作の映画)
4.1
ゾンビ映画の新たなバリエーション。
人を凶暴化させるウィルスのパンデミックが終息。
治療法が見つかり、回復した人々が社会復帰を始める。
しかし彼らには感染していた間のハッキリした記憶があり、愛する者を喰った怪物として社会から忌み嫌われ差別される。
三年前の作品だけど、公開タイミングは怖ろしいほどタイムリーに。
確かにゾンビが病気の一種だとすれば回復することもあるだろうし、その後の人生もあるだろう。
目の付け所は新しい。
テーマとなるのは二点。
不可抗力とは言え、愛する者を殺した誰かを許せるか。
もう一つは、理不尽な差別にどこまで耐えねばならないのか。
感染しなかった人々、回復した人々それぞれの葛藤が絡み合う。
言葉では許せると言っていた人物も、いざ我が身のことになると豹変する。
感染中の自分の罪を分かっていても、執拗な差別には反発する。
とても真面目な作りなので、それほど面白味のある作品ではないが、分断が差別を生むある種のシミュレーションとして興味深い。
どちらの立場でも非常に辛い話。
治療が効かなくて安楽死させられるのが25%で5千人の設定だから、国全体で2万人が感染という数字までなんだかリアル。