乳酸菌

search/サーチの乳酸菌のネタバレレビュー・内容・結末

search/サーチ(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

事前に動画配信サイトで予告編は観なくて、ストーリーも極力ネットでの事前情報を避けてまっさらな状態での鑑賞。

感想は「定価オーバー、2,400円分の娯楽性はあったかな?」です。

冒頭のWindowsXPの起動画面から、その時代にこの物語は始まっているよと、鑑賞者にさり気なく教えてくれる親切設計?みたいな。

娘と連絡がつかない、最初は確信が持てなかった父親も、娘がピアノ教室のレッスン料をかなり前から払っていなかった、ってそこで曖昧だった疑念は明らかな確証に変わり、娘のフェイスブック、ツイッター、あらゆるSNSを手当たり次第調べまくっている姿は、何か「おいおいおい、調べようと思ったら、他人のプライバシー丸見えかよ」と若干の恐怖心が無きにしも非ず。

もちろんそれを知ってか、娘もそれらのSNSには鍵をかけているけど、それも幾つかは父親に突破されてしまうのは、鍵の有効性を疑問視させる製作者側の警笛か。

父親の娘を想うが故の行き過ぎた行動。結果警察からその行動にストップが掛かるけど、その直後にまだ続けていた単独行動から核心に近づいたか?まさか?!と思わせといて、警察から電話、娘の死亡が確定的になったと言われ泣き崩れる父親。

それで終了と思わせといて、肝心の娘の遺体は無いと。

上映時間を考えて、まだ二転三転するなと、当然ながら観客は期待する、そしてその要望にしっかり応える監督、娘の死を知って打ちひしがれる父親、最後にと、葬儀サイトって、またこれもどーよ?な所でつつましく娘の記録をアップロードしていたら、ある疑問に気付き、はっ!これは!とまた父親の単独行動が開始。

結果、灯台下暗しで、ある意味ミステリーとしては予定調和とも言えなくも無い、身近な人が犯人でした!どや!と、でも、観客的視点からすると、この手の映画の定石な展開に既視感を覚える感は否定できない。

いわゆる「犯人はヤス」的な(ファミコンのポートピア連続殺人事件ってゲームソフトの犯人、ネタが古すぎるか)は、嗚呼、やっぱりねぇ、なんて、観終わった後、この映画の感想を考えている時、これはこの映画のマイナス点かな?とネガティヴな感を感じたり。

でも、起承転結、ストーリーテリング的には上手くまとめていたかなと。

しかし、この映画の縛り設定「全てモニター画面の中で話が展開していく」ってのは、途中、流石に苦しくなって来ると言うか。でも、冒頭に書いたワード「初志貫徹」の心意気と言うか、頑張り具合は評価は出来るプラスポイント。確かにこんなシチュエーションの映画は今までなかったから、やったもん勝ち!とその最初に描いた初期設定でこの映画を作り上げた点もプラス。

概ね、斬新な現代のネット世相ならではのミステリーとして、一定の評価はされるべきかと思われ。良かったよ、時間返せ!とは決して思えなかったし。

でも、モニター内だと、活字量、その情報量を考えると、字幕製作者の労苦がひしひしと伝わってきます。取捨選択をどの辺でやるかとか、ストーリー展開を観客に伝える字幕スーパーじゃなきゃいけないので、ある意味非常にスキルの必要な映画字幕製作だったかもです。
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