Nakman

真実のNakmanのレビュー・感想・評価

真実(2019年製作の映画)
3.7
是枝裕和監督の最新作、万引き家族に感動した私は心弾ませ観にいってきました。

感想ですが、なかなか味わい深い作品という印象を持ちました。
前半は話が入ってこずウトウトしてしまいましたが、後半に進むにつれ理解が進み、衝撃の展開の連続でした。
一度で理解するというよりは何度か観て理解を深める作品だと思います。

カトリーヌ・ドヌーヴの圧倒的存在感が凄かったです。
役を演じているのか彼女自身の生活を見ているのかの境目が見えなくなるほどの圧巻の演技。
大女優ならではの家族との確執や孤独、仕事へのプライド、女優ならではの愛の形等を見事に描いていました。
若い頃から娘とわだかまりを抱えていたファビエンヌが歳を重ね衰えていき、弱さを見せ真実を語り始める。
大女優だって一人の普通の人間なんだと感じさせられる切ないシーンが散りばめられていました。
その姿は実に人間味があり、感情を揺さぶられるものがありました。
終盤のあるシーンは危うく涙腺崩壊しそうでした。

ドヌーヴ以外の俳優陣も素晴らしかったです。
ファビエンヌの娘リュミールを演じたジュリエット・ビノシュの鬼気迫る演技も見事でしたし、リュミールの夫ハンクを演じたイーサン・ホークの緩い感じが高まる緊張をほぐしてくれました。
また、リュミールとハンクの娘シャルロットを演じたクレモンティーヌ・グルニエちゃんは演技未経験とは思えない堂々とした演技と可愛らしさで微笑ましかったです。
ファビエンヌの姉の再来と言われたマノンを演じたマノン・クラヴェルも美しさと力強さで作品に華を添えていました。

カトリーヌ・ドヌーヴによるカトリーヌ・ドヌーヴのための作品と言っても過言ではないほど彼女の人生に迫った作品のように感じました。
大女優のプライベートはこんな感じかなと納得させられましたし、若くして亡くなったドヌーヴの実の姉をマノンに重ねたような脚本も凄いなと。
そして、この設定と脚本でドヌーヴを出演までこぎつけたことは素晴らしいとしか言いようがないです。
亡くなった姉との共演という一歩間違うとタブーのような設定でしたので。

このような意欲的で大胆な作品を豪華キャストで作り上げた是枝裕和監督、素晴らしいです。

改めて見直すべき作品だと思います。
前半ウトウトした人間(私)が偉そうに(笑)

以上、「真実」レビューでした。
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