【第9回ベルリン映画祭 金熊賞】
ディズニー制作のドキュメンタリー。アカデミー賞で長編ドキュメンタリー映画賞も受賞している。レミングの生態をねつ造によって誤って流布した作品として悪名高い。
北極周辺のツンドラ気候帯を舞台として、そこに住む生物たちの生態を捉える動物ドキュメンタリー。『砂漠は生きている』でも明らかに場所が違ったり人の手が大いに加えられていて「これはドキュメンタリー」とは言えないと述べたけど、本作も同じ。
やたら都合よく事件が起こり、予測していたとしか思えない場所にカメラが設置されていたりと怪しさ全開。
よく知られているのが、「集団自殺する」というスカンジナビアの伝説を真に受け、わざとレミングの群れを崖から飛び降りるように仕向けたというもの。これは事実だと認めている。しかもツンドラ気候帯ではなく、カナダ北西部カルガリーのボウ川で撮影されたものだという。
またホッキョクグマが氷の斜面を落下するシーンはカルガリーの映画スタジオで撮影されたそうだ。どこがドキュメンタリーだ。
それ以外にもオオカミより凶暴なクズリが鳥を狙うシーン、これもなぜか予測したようにクズリが木を登る前後を完璧に捉えた木の上部からのショットがある。不思議ですね~
やっぱり引き続きドキュメンタリーとは言えない作品だとは思う。撮影など技術力は高いので普通に観られるが、その技術力故に虚偽を含んでしまった作品だろう。