【第50回アカデミー賞 助演男優賞他全3部門受賞】
『地上より永遠に』フレッド・ジンネマン監督が作家リリアン・ヘルマンの自伝的短編集の中の一篇を映画化した作品。アカデミー賞では作品賞など全10部門11ノミネーションを受け、助演男優賞(ジェイソン・ロバーズ)、助演女優賞(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)、脚色賞の3部門を受賞した。
素晴らしい。フレッド・ジンネマン監督の堅実な手腕が光る秀作社会派サスペンスに仕上がっている。主演のジェーン・フォンダも輝いている。
幼い頃から一緒に育った二人の女性、リリアンとジュリアの運命が交錯していく。作家になったリリアンに対し反ナチの活動家になったジュリア、彼女たちが一点で交わっていく。
舞台が第二次世界大戦直前ということで社会的恐怖も迫っている。そんな中全く違う生き方を選んだ二人の女性を過去を交えつつ巧く描いている。
フレッド・ジンネマンは職人監督という印象、どんな題材もそれなりに仕上げる名手だ。本作も彼の誠実な演出手腕が遺憾なく発揮され、社会派サスペンスとして見事な仕上がりになっている。
ジェーン・フォンダ演じる劇作家が後半巻き込まれる政治劇にハラハラさせられる。彼女がユダヤ人ということもあり、ドイツ入国のくだりは胃がちぎれそうな思いだった。
ただ、それだけでなく彼女たちの過去も上手く挿入して絆を描いているのがいい。サスペンスの側面が強いが、彼女たちの自立した考え方をしっかりと描いているという点で高く評価できる。
脇役でメリル・ストリープが出ているのも楽しいところ。目立つ役ではないがやはり目を引く存在感。役者たちの熱演も素晴らしい。やはり主演のジェーン・フォンダ、これで主演女優賞とれなかったのはおかしいと思うくらいの演技をみせている。