右京

劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~の右京のネタバレレビュー・内容・結末

4.9

このレビューはネタバレを含みます

2022/8/6
まず一つ、なぜアニメシリーズでやってくれなかったんだと心から思う。
久美子が2年生時のストーリーで裏側ではリズと青い鳥が走っている世界線になっている。裏側で走っているストーリーとの掛け合わせは上手くできていた。無駄がなく、それでいて大胆すぎない。
この作品において中心の評価になるのは新1年生のキャラクター設定なのだが、ここは満点が過ぎるくらい。特に中心人物となる奏は、そのサイコっぷりが久美子と重なる部分があるのだが、絶妙なズレと、久美子の方が1年先輩であり、その分奏への理解とそれが可能になるほどの経験を演出でふんだんに出してきている。後輩の描き方としては珍しいタイプだが、この物語のキャラクターの歪みを考えると非常に受け入れやすく、かつ興味深いキャラクターになりうる。
演出としては、劇場版のため多少駆け足ではあったが必要な部分をしっかり時間を取って描いていた点は評価できる。特に美玲がサンフェス直前で心境を打ち明けるシーンは、奏と久美子が精神的にぶつかる初の舞台であり、エヴァンゲリオンさながらの音楽演出がかなり光った印象。また、OP、秀一の告白シーンからのPUFFYという視聴者を引き込むことに特化した演出は劇場版っぽさも強く、石原立也の柔軟性がかなり出ていた。
元々京アニの劇場版は近年のアニメ劇場版のようなダイナミックさを打ち出したものではないことが多いが、今作は地区大会での演奏シーンには力を入れていた感じがする。だが、個人的にはそのダイナミックな演出が京アニ特有の細かい演出を殺していた感じがして少し引っかかる部分ではあった。
ラスト、全国大会出場を逃すというストーリーの運びは物語に余白を残す演出としてかなり良かったが、この部分も演出面でもう少し上手くやれた気がする。ただ、奏でにあの時の麗奈のセリフを言わせたことは高評価。座席配置を中学時代の鎧塚と傘木の配置にすれば良かったのにとも思ったが(おそらく逆サイドに座る配置だったはず...)
まぁごちゃごちゃ言ってますが、しっかりクソ泣きました。
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