ハレルヤ

エリック・クラプトン~12小節の人生~のハレルヤのレビュー・感想・評価

3.8
ギターの神様と呼ばれたギタリスト、エリック・クラプトン。音楽史に残る偉大なるギタリストである彼の波乱万丈の半生を捉えたドキュメンタリー映画。

「いとしのレイラ」「ティアーズ・イン・ヘブン」など音楽を普段からよく聴かない人でも、絶対どこかで耳にしたことのあるエリック・クラプトンの楽曲。僕も高校の時に彼の音楽に深く触れて今も愛聴するアーティストの1人。

彼の人生は文字通り波乱万丈だったのは知っていましたが、いざこのドキュメンタリー映画を通じて見たら、その壮絶さがより強く伝わってくるものでした。

実の母親に拒絶されて愛に飢えた幼少期。そんな彼を救ったのが音楽。独学でギターを学び、バンドを組み、徐々に自らの知名度を上げていく。そして運命的なヤードバーズへの加入。

その後は目まぐるしくバンドの脱退と結成、加入の連続。ポップ志向のヤードバーズに嫌気が差し、ブルースロックを重視するジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズに加入。やがてブルース、ロック、サイケデリックなどを融合させたバンド、クリームを結成。メンバー間の不仲により解散し、今度はブラインド・フェイスを結成。しかしそれも1年も持たずに解散。

デレク・アンド・ザ・ドミノスで1枚ながらもロック史に残る名盤をリリース。しかしそれも結局衝突が相次ぎ、またしても解散。ソロに移行するも名ギタリストであり友人でもあったジミヘンの死を受けたり、ドラッグやアルコールに悩まされる日々を送る。

この一連が全てクラプトンが20代に経験。この間だけでもどれだけ濃すぎる人生を送っているのか。改めてその凄まじさに驚かされます。ビートルズのメンバーとも全員仲が良かった彼ですが、中でも特に仲の良かったジョージ・ハリスン。彼の妻であるパティ・ボイドに恋をし手三角関係になってしまうという私生活まで波乱が巻き起こりました。

その後はソロを成功させつつ、結婚と子供の誕生もあり念願だった家庭を持つことに。しかしそこでも強烈な悪夢が。4歳の息子コナーが事故死。いくらギターの神様と言えど耐えられない悲劇。そんな失意のドン底にいる彼を救ったのはやはり音楽。

息子へ向けて書いた「ティアーズ・イン・ヘブン」がグラミー賞受賞。クラプトンを代表する曲の1つになる。普通なら心折れて当然と思える出来事ばかりのクラプトンの人生。しかしそれらを自ら乗り越えて成功と安らぎを収めた彼。

こうやって振り返るとまた彼の楽曲を聴き直したくなる事は請け合い。現在78歳を迎え、今もなお現役のクラプトン。もう高齢になりましたが、いつまでも元気で末永い活動を願います。
ハレルヤ

ハレルヤ